演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

ケモカインCCL21と腫瘍溶解アデノウイルスを用いた新しい癌ワクチン療法の開発

演題番号 : P77-8

[筆頭演者]
山野 智基:1 
[共同演者]
久保 秀司:2、矢野 綾:1、松原 長秀:1、山本 英幸:3、岡村 春樹:3、冨田 尚裕:1

1:兵庫医科大学下部消化管外科、2:兵庫医科大学医学部医学科遺伝学、3:兵庫医科大学腫瘍免疫制御学

 

CCL21はCCR7をレセプターとする成熟樹状細胞、ナイーブT cellを誘導するケモカインであるが、CCL21のDNAワクチン前投与で抗腫瘍効果が増強する(2006 Mol Ther)。また一般にウイルス感染細胞は細胞死に際して免疫反応を増強させ、腫瘍細胞もウイルス感染により細胞死を起こすと免疫反応を増強させると考えられる。我々は開発中のCCL21をアジュバント、腫瘍特異的なミッドカインプロモーターによりウイルス複製が制御される腫瘍溶解アデノウイルス(2010 J Gene Med)が感染したマウス大腸癌細胞CT26を癌抗原とする新しい癌ワクチン療法について報告する。まずマウス大腸癌細胞CT26、CMT93に対する抗腫瘍効果をin vitroで検討した。MOI (Multiplicity of infection) 100、MOI 1000で細胞にウイルスを感染させると、7日後には増殖型のウイルスでは強い増殖抑制作用を示したが、非増殖型のウイルスでは増殖抑制作用は認めなかった。次に増殖型ウイルスを感染させたCT26細胞をマウス皮下に接種し、抗腫瘍効果が誘導出来るか検討した。ウイルス感染10時間で、CT26を1万個皮下接種するとMOI 10, MOI 100, MOI 1000全てでMOIゼロ(ウイルス感染なし)と同様に腫瘍が生着した。ウイルス感染時間を24時間にするとCT26を1万個皮下接種してもMOI 1000では皮下腫瘍が出来なかった(0/8、MOI ゼロでも25%(2/8)が皮下腫瘍出来ず)。抗腫瘍免疫を確認するために再度CT26を1万個皮下接種すると50%のマウスで腫瘍生着が拒絶されたが、MOI ゼロで最初に腫瘍が出来なかった2匹とも腫瘍生着が拒絶された。抗腫瘍免疫の増強を期待してCT26を10万個に増量し、CCL21と併用、ワクチンは2回行い、その後CT26を再度接種し抗腫瘍免疫を検討した。その結果CT26のみを接種した場合は全てのマウスで腫瘍が生着(12/12)した。CCL21のみでワクチンした場合、CCL21-MOI ゼロでワクチンした場合はどちらも17%(1/6)に腫瘍が生着しなかった。MOI 1000でワクチンした場合は単独で33%(2/6)、CCL21との併用(CCL21-MOI 1000)では29%(2/7)に腫瘍が生着しなかった。ワクチン段階で腫瘍が出来なかったもので、その後の腫瘍細胞の再チャレンジで腫瘍が出来なかったものはCCL21単独, CCL21-MOI ゼロで100%(それぞれ1/1)、MOI 1000, CCL21-MOI 1000で40%(それぞれ2/5)でありMOI 1000のウイルス感染CT26細胞は必ずしも十分な抗原として働いておらず、更なるワクチン療法の改良が必要と考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:腫瘍免疫

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