演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

S-1連日投与による5-FU消化管障害マウスモデルの免疫学的評価:S-1隔日投与法の有用性

演題番号 : P77-1

[筆頭演者]
梶原 大輝:1 
[共同演者]
三浦 康:2、白坂 哲彦:3、大沼 忍:1、小村 俊博:1、工藤 克昌:1、羽根田 祥:1、長尾 宗紀:1、阿部 友哉:1、田中 直樹:1、武者 宏昭:1、元井 冬彦:4、片寄 友:4,5、内藤 剛:1、海野 倫明:4

1:東北大学大学院医学系研究科生体調節外科学分野、2:独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター外科、3:北里大学北里生命科学研究所、4:東北大学大学院医学系研究科消化器外科学分野、5:東北大学大学院医学系研究科統合がん治療外科学講座

 

【背景】 5-FU は、現在の抗癌剤治療において、様々な悪性腫瘍に使用されている薬剤である。しかし、S-1 を含めた 5-FU 製剤は消化管障害を伴い、それにより減量、休薬を余儀なくされることが少なくない。一方、消化管障害を軽減する目的で S-1 隔日投与法が提案され、抗腫瘍効果を保ちつつ消化管障害を抑えることが報告されている (Shirasaka T et al. Jpn J Clin Oncol. 2009, Yamaue H et al. Cancer Chemother Pharmacol 2013)。近年、腫瘍免疫学が発展し、T cell を中心に免疫が腫瘍に及ぼす影響が徐々に解明されつつある。しかし、5-FU が T cell を中心とした免疫におよぼす影響は詳細に検討されておらず、消化管障害などの副作用が与える影響も十分に解明されていない。
【目的】 5-FU の消化管障害が T cell subset に与える影響を評価し、腫瘍免疫学的観点から考察する。
【方法】 BALB/c マウスを使用し、S-1 を無投与 (対照群)、S-1 14日間連続投与 (連日群: 5-FU消化管障害モデル)、S-1 28日間隔日投与 (隔日群: 5-FU非消化管障害モデル) の3群に分けて経口投与した。連日群は14、28日目に、対照群と隔日群は28日目に、a) 体重変化、b) 血液検査、c) 小腸粘膜の病理組織像、d) 脾臓、腸間膜リンパ節、パイエル板、腸上皮間リンパ球、粘膜固有層リンパ球の T cell subset (Treg, Th1, Th2, Th17, CTL; フローサイトメトリー) を評価した。
【結果】 a) 体重変化: 連日群では有意に体重が減少していたが、隔日群は対照群と比較し減少を認めなかった。b) 血液検査: 連日群で白血球が対照群より有意に低下していた。c) 小腸粘膜の病理組織学的評価: 連日群では粘膜の萎縮を認めたが、隔日群では認めなかった。d) 各リンパ組織における T cell subset: 連日群において粘膜固有層リンパ球で Treg の比率が大きく上昇 (連日群: 35.4±6.0%, 対照群: 5.8±1.1%, 隔日群: 8.5±1.3%) し、また、全体的な Th1 の比率の低下を認めた。隔日群では目立った変化は認めなかった。
【考察】 5-FU による消化管障害を伴う S-1 連日投与下では Treg の比率の増加や Th1 の比率の低下を来たし、抗腫瘍免疫に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。一方、S-1 隔日投与法は消化管障害が少なく、T cell subset にもほぼ変化を認めず、抗腫瘍免疫学的観点からも有用な投与法であることが示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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