演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

分子標的薬によりT3b/cおよびM1腎癌症例に対する初期治療方針は変わったか?

演題番号 : P67-10

[筆頭演者]
加藤 智幸:1 
[共同演者]
福原 宏樹:1、牛島 正毅:1、八木 真由:1、菅野 秀典:1、西田 隼人:1、内藤 整:1、柴崎 智宏:1、川添 久:1、石井 達矢:1、一柳 統:1、長岡 明:1、冨田 善彦:1

1:山形大学医学部腎泌尿器外科

 

【目的】サイトカイン時代には有転移腎癌患者に対する腎摘除術および下大静脈腫瘍塞栓を有する腎癌患者に対する腎摘除術+腫瘍塞栓除去術が標準治療であった。しかし近年、分子標的薬の登場により、腎癌の治療パラダイムは劇的に変化した。我々は山形大学におけるサイトカイン時代と分子標的時代におけるT3b/cおよびM1 腎癌患者に対する初期治療方針につき比較検討を行った。【対象と方法】2003年1月から2013年6月までに山形大学において腎細胞癌と診断された636人の腎癌患者のうち、T3b/cおよびM1と診断された74例おける初期治療方針と予後について検討した。2003年1月から2008年3月までをサイトカイン時代、2008年4月から2013年6月までを分子標的時代と定義し、それぞれの時期に治療を受けた患者をC群、T群と分類した。それぞれの患者群における初期治療方針と予後について比較検討を行った。【結果】患者数はC群26例、T群48例であった。M1症例数は、C群16例、T群41例、T3b/c患者数はC群13例、T群16例、転移巣およびIVC血栓の両方を有する患者は、C群3人(11.5%)およびT群9人(10.4%)であった。C群では治療前に腎腫瘍生検を施行された症例はいなかったが、T群では18例(37.5%)に対して施行されていた(p=0.0018)。また、即時腎摘出を受けたT3b/c患者数は、C群、T群それぞれ 9例(69.2%)と7例(43.8%)であり、T群において有意に減少していた(p=0.0162)。また、M1患者群およびT3b/c患者群における治療前腎腫瘍生検に関してC群では施行された患者はなかったが、T群ではそれぞれ12例(29.2%)と7例(53.8%)であり、T群において有意に増加していた(p=0.0331、p=0.0003)。治療前の腎腫瘍生検を受けた18人の患者のうち13人(72.2%)が分子標的治療を受け、3人(16.7%)がサイトカイン療法を受けていた。T群において即時腎摘除術を施行された患者は治療前に腎腫瘍生検を施行された患者より有意に全生存率が高かった(p=0.006)。【結論】分子標的治療においては、治療前の組織学的診断が治療方針決定のために重要なアプローチであることが示唆された。しかし、分子標的時代においても進行性腎癌患者に対する腎摘除術は重要な治療戦略であることに変わりはないと考えられた。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:分子標的治療

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