演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

Paclitaxel+Trastuzumabが奏効した局所進行性乳癌の1例

演題番号 : P60-7

[筆頭演者]
大野 由夏子:1 
[共同演者]
三浦 聖子:1、森岡 絵美:1、野口 美樹:1、中野 泰治:1、野口 昌邦:1、小坂 健夫:2

1:金沢医科大学乳腺・内分泌外科、2:金沢医科大学一般・消化器外科

 

【症例】47歳・女性。【現病歴】左胸部のしこりを1年前から自覚していたが徐々に増大してきたため、当院皮膚科を受診。乳癌が疑われ、当科受診となった。来院時より、安静時呼吸苦・腰痛があった。【初診時身体所見】左前胸部に約20×20cm大の悪臭を伴う突出した巨大な腫瘍を認め、浸出液の漏出もあった。左上肢全体に浮腫を伴っていた。
【病理組織学的検査結果:CNB】
invasive ductal carcinoma,ER90%+,PgR30%+,HER2:3+,Ki-67:20-30%,ly+,v+【Tumor Marker】 NCC-ST-439:正常範囲,CEA:正常範囲,BCA-225:1800(上昇),CA15-3:439(上昇)【胸部MRI】巨大腫瘍が胸筋に浸潤し、肋骨に多発融解像を認めた。鎖骨上リンパ節転移が疑われた。また、左肺優位に著明な胸水を確認した。右乳房に異常はなかった。【PET-CT】左乳房にSUV-25.54の高度集積を認め、脊椎・両肩甲骨・胸骨・肋骨・骨盤骨に多発性骨転移・両鎖骨上窩リンパ節転移・対側腋窩リンパ節転移を認めた。【脳MRI】前頭葉に10mm大の転移巣を確認した。【診断】cT4c N3 M1 StageⅣ【治療経過】左肺優位に胸水を著明に認め癌性胸膜炎を伴っていた。左胸水に対し胸腔穿刺術を施行した(胸水細胞診陽性)。化学療法としてPaclitaxel+Trastuzumab投与を開始した。歯周炎の治療を施行した後にZoledronic acidを追加した。腫瘍部は洗浄とMohs軟膏を塗布し、alginate被覆材を使用し止血をはかった。悪臭に対してはmetronidazol(院内製剤化)を塗布した。また、高吸収ポリマーパッドを使用し浸出液の漏れを防いだ。疼痛はオキシコドン内服にてコントロール良好であった。巨大な胸壁潰瘍は徐々に縮小し、治療開始2か月後のPET-CTで転移巣全てのFDG集積の軽減を確認した。さらに投与を継続し腫瘍は胸壁に平坦になるまで改善した。採血でNCC-ST-439の上昇を認め、Tamoxifen内服を追加した。治療開始から1年半年後のPET-CTで左乳房の集積はSUV-3.31まで低下し,その他目立ったFDG集積を認めないまで奏効しているのを確認した。現在も外来化学療法投与を継続している。
HER2陽性局所進行性乳癌に対し、TrastuzumabにTaxane系を主体に抗癌剤を併用する事が一般的であるが、今症例では初診時より胸水を著明に認め抗癌剤投与によりPSの悪化が懸念されたために、weekly paclitaxelを選択しTrastuzumabを併用した。局所進行性乳癌に対し著明に化学療法が奏効し、潰瘍部の処置経過も良好だった一例を提示する。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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