演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

術後トラスツズマブの適応拡大後のHER2陽性乳癌の治療成績

演題番号 : P60-3

[筆頭演者]
柄川 千代美:1 
[共同演者]
沖代 格次:1、新田 佳苗:1、日馬 弘貴:1、高塚 雄一:1

1:独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院外科

 

【背景】トラスツズマブが2008年2月に乳癌術後療法として適応拡大となり、当科ではその時点で術後化学療法が終了し1年以上経過していない症例にさかのぼり、術後トラスツズマブを開始した。治療開始から5年以上経過した現在は、抗HER2療法の開発がすすみ、HER2陽性転移再発乳癌の治療戦略は多岐にわたっている。今後治療にあたる症例の多くはトラスツズマブによる治療を行っている可能性が高いと考えられる。
【対象と方法】本研究では術前または術後トラスツズマブを施行したHER2陽性原発性乳癌116例および2006年以後に診断治療した転移性(stage IV)乳癌19例の治療成績について検討した。術前後のトラスツズマブ投与法は原則的に初回8mg/㎏、2回目以後6mg/㎏で3週毎投与、計18回とした。心臓超音波検査による心機能評価をトラスツズマブ治療中は3~6か月ごと、治療終了後は可能な限り12か月ごとに行った。
【結果】原発性乳癌では観察期間中央値42か月(3-89か月)で再発5例、死亡1例と少数であり5年無再発生存率94.6%、5年全生存率98.5%であった。再発例の5例中3例でアンスラサイクリンとタキサンによる術前化学療法を施行し組織学的治療効果は1a:2例、2a:1例といずれも明らかな浸潤巣を残していた。また1例は患者希望でトラスツズマブを中断、別の1例はトラスツズマブ治療中の再発であった。観察期間中、重篤な心障害は認めなかったが、1例で5サイクル後に左室壁低運動を認め、EF55%に低下した。約5か月の休薬の後、EF61%に回復しトラスツズマブ治療を再開した。二次癌は対側乳癌を1例に認めた。転移性乳癌においては5年全生存率60.3%でありER陽性: 50.0%, ER陰性: 38.9%とER陽性例で予後良好の傾向であった(p=0.1228)。ラパチニブの治療の有無では差は認められなかった。
【結語】HER2陽性乳癌は術後トラスツズマブにより再発率は低く、心障害の頻度も少なかった。また転移性乳癌の予後も比較的良好であった。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:分子標的治療

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