演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

腫瘍縮小にて膵頭十二指腸切除術を回避できた膵Solid-pseudopapillary neoplasmの1例

演題番号 : P58-9

[筆頭演者]
信岡 大輔:1 
[共同演者]
八木 孝仁:1、篠浦 先:1、高木 弘誠:1、杭瀬 崇:1、内海 方嗣:1、吉田 龍一:1、楳田 祐三:1、貞森 裕:1、藤原 俊義:1

1:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学

 

【はじめに】膵Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)は膵癌取扱い規約(第6版)で分化方向の不明な上皮性腫瘍と分類される。大部分が良性腫瘍であるが悪性例の報告もあり、リンパ節郭清を伴う定型的膵切除術から核出術をはじめとする縮小手術までが個々の症例に応じて幅広く選択され、手術術式に関し一定の見解は得られていない。
【症例】14歳女性。上腹部痛にて前医の救急外来を受診し、膵頭部腫瘤を指摘された。超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を含めた精査にて膵SPNと診断され、手術目的に当科紹介となった。前医初診時のCTでは23mmの充実性腫瘍で主膵管に近接していたため膵頭十二指腸切除術が必要と考えられたが、約1ヶ月半後の当科初診時には腫瘍径15mmに縮小しており、さらに1ヶ月半の手術待期中に11mmにまで縮小し、主膵管との間の距離も10mmに拡大した。このため術式は臓器機能温存を図り膵鉤部切除術を選択し、腫瘍および主膵管を露出することなく安全に施行可能であった。術後は軽微な膵液瘻を認めたが、保存的に治癒した。病理組織学的には最大径13mmの膵SPNで明らかな悪性所見を認めなかった。以後厳重に経過観察中であるが、現在まで2年半再発を認めていない。
【考察】本症例は、腹痛にて前医を受診した際のMRI・T1強調画像で腫瘍内部に不均一な高信号を示していることから、この時には腫瘍内に微小な出血を伴って見かけ上増大していた腫瘍が、その後の自然経過で血液成分が吸収されることで腫瘍サイズの縮小を認めたものと推察された。膵SPNの手術術式に関しては一定の見解は無く、リンパ節郭清を伴う定型的膵切除術を要するとする報告から核出術をはじめとする臓器機能温存手術を推奨する報告までが存在する。本症例は嚢胞成分を伴わない腫瘍が自然経過で縮小し最終的に臓器機能温存手術が可能となった症例であり、今後長期間の厳重な経過観察を要するものの、若年者に対し膵頭十二指腸切除術を回避することができた意義は大きいと考えられる。今後膵SPNに対する術式選択を考慮する際に示唆を与える症例と考え、報告する。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

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