演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

膵内転移を来した膵体部癌の2切除例

演題番号 : P58-8

[筆頭演者]
藤田 優裕:1 
[共同演者]
北郷 実:1、板野 理:1、篠田 昌宏:1、阿部 雄太:1、八木 洋:1、日比 泰造:1、香月 優亮:1、田中 真之:1、門多 由恵:1、藤村 知賢:1、真杉 洋平:1,2、坂本 亨宇:2、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部一般消化器外科、2:慶應義塾大学医学部病理学教室

 

(背景)原発性肝癌や肺癌等,癌の同一臓器内転移は悪性度や進行度の指標として重要である.一方,浸潤性膵管癌の膵内転移に関して,報告がまれでありその定義や臨床的意義に関しては一定の見解を得ていない.我々は膵内転移をきたしたと思われる浸潤性膵管癌の2切除例を経験したので報告する.(症例1)70歳代女性.CA19-9の上昇を指摘され,画像検査にて膵体部に不整腫瘤を認めた.EUS,ERCPでは膵鉤部に10mm大の分枝型IPMN,膵体部に18mm大の腫瘤を認め,膵管擦過細胞診にて異型細胞を認めclassⅢbと診断された.膵体部癌に対し膵体尾部切除(D2),門注カテーテル挿入を行った.術直後より門注化学療法を施行し術後30日目に軽快退院した.切除標本では体部に32×20mmの腫瘍を認め,病理組織学的検査は高度な脈管侵襲を伴う低分化型管状腺癌,pT4N1M0 StageⅣaであった.その主腫瘍と離れた尾部にも1mm大の低分化腺癌を認め,組織像も類似しており膵内転移と診断した.外来でGEMによる外来化学療法を6サイクル行ったが,術後1年3か月で肝転移巣が出現したため化学療法(TS-1)を開始し,1年11か月経過した現在,肝転移巣は縮小し外来化学療法継続中である.(症例2)30歳代男性.心窩部痛を契機に発見された膵体部癌にて当院紹介された.画像検査にて膵体部に造影効果の乏しい腫瘍と尾側膵管の拡張を認め,膵体部癌と診断して膵体尾部切除(D2),門注カテーテル挿入を行った.術直後より門注化学療法を施行し術後30日目に軽快退院した.切除標本では体部に35×18mmの腫瘍を認め,病理組織学的検査は脈管侵襲を伴う中分化型管状腺癌,pT4N1M0 StageⅣaであった.症例1同様に主腫瘍から2.5cm離れた尾部に0.6mm大の癌組織を認め,膵内転移と診断した.術後4か月経過しているが,現在TS-1による補助化学療法を継続している.
(結語)膵内転移は予後因子の可能性が示唆されており、症例を蓄積してその臨床学的意義を検討する必要がある.今回,浸潤性膵管癌の膵内転移を病理組織学的に診断しえた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

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