演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

通常型膵癌切除例に対する経年的治療成績の比較

演題番号 : P58-5

[筆頭演者]
高森 啓史:1 
[共同演者]
金光 敬一郎:1、廣田 昌彦:2、馬場 秀夫:3

1:社会福祉法人済生会熊本病院外科、2:社団法人熊本市医師会熊本地域医療センター外科、3:熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科

 

【背景と目的】近年、膵癌に対する周術期補助療法、画像診断、周術期管理および手術手技・機器が進歩してきている。しかしながら、現在でも大部分の症例では再発を認め、長期間の無再発生存(治癒)は稀である。今回、通常型膵癌切除例の経年的な特徴と治療成績の変化を検討した。
【対象と方法】1984年11月から2008年11月までに通常型膵癌に対し膵切除術を施行し、術後5年以上経過した160例を対象とした。1999年までの前期群(82例)と2000年以降の後期群(78例)に分け、両群間の臨床病理学的特徴および生存成績を比較した。生存曲線はKaplan-Meier法を用い、統計処理には、カイ二乗検定、Mann-Whitneyテスト、log-rankテストを用いた。
【結果】年齢中央値は全体で66歳(37-85歳)、前期群64歳(37-83歳)、後期群70歳(37-85歳)であり、男女比は全体で88:72、前期群47:35、後期群41:37で、両群間で年齢と男女比に有意差を認めなかった。病期は全体でstage 1: 14例、stage 2: 5例、stage 3: 35例、stage 4a: 68例、stage 4b: 38例、前期群stage 1: 1例、stage 2: 2例、stage 3: 19例、stage 4a: 34例、stage 4b: 26、後期群stage 1: 13例、stage 2: 3例、stage 3: 16例、stage 4a: 34例、stage 4b: 12例であり、後期群が有意に進行した病期が少なかった(p=0.0028)。癌遺残度は全体でR0: 70例, R1: 52例, R2: 38例で、前期群R0: 12例, R1: 36例, R2: 34例、後期群R0: 58例, R1: 16例, R2: 4例であり、後期群で有意に癌遺残度が低かった(p<0.0001)。補助化学療法は全体で62例に施行し、前期群は6例(6.3%)、後期群では56例(71.8%)に施行し、後期群での補助化学療法実施率が有意に高かった(p<0.0001)。全体のactual 5-year survival rate (5生率)は19.4%、MSTは21.5ヵ月で、5生例は31例であった。生存成績比較では、5生率とMSTは前期群15.9%、15.3カ月、後期群23.1%、29.0カ月と後期群が有意に生存成績良好であった。しかしながら5生例は前期群13例、後期群18例で5生例の割合には有意差を認めなかった。
【まとめと考察】2000年以降、進行病期の割合が有意に減少し、また癌遺残度も有意に減少した。さらに、補助化学療法の実施率も上昇して、生存成績は有意に改善した。しかしながら、5生例の割合には有意差を認めなかったことから、生存曲線では中膨らみは認められるが、治癒症例の増加には繋がっていないことが示唆された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

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