演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

癌の時間学からみた生存曲線の解析

演題番号 : P47-1

[筆頭演者]
木下 一夫:1 

1:社会医療法人誠光会草津総合病院乳腺外科

 

 個のがんの自然史が集合して生存曲線となる。この概念に基づき、癌の増殖曲線の観点からこれまでに報告された種々の癌の生存曲線の基礎的な解析を試みた。まず、多くの生存曲線が進行度に関わらず、ほぼ一定の時点で屈曲を示す(屈曲から再発までの期間:乳癌30カ月、大腸癌15カ月、屈曲から死亡までの期間;胃癌18カ月、膵癌10.5カ月)ことより、腫瘍の増殖に関する一つの仮説:2段階増殖を考案した。「癌の転移巣は最初一定の遅い速さで指数関数的に増殖し、ある時点より徐々に加速し、次のある時点から一定の速い速度で指数関数的に増殖するようになる。」というものである。さらに癌の増殖に伴う転移の出現の頻度が正規分布の累積分布関数に従うとすると、手術が終わった時点の遺残腫瘍量ごとの症例数はほぼ一定に分散すると考えられる。これらに基づき、大腸癌の進行度別の生存曲線をシュミレーションした。その結果、実際の生存曲線と極めて近似した形で再現することが可能であった。2段階増殖モデルの正当性が確認されたと考えられ、次に化学療法やホルモン療法の生存曲線を増殖速度の段階別に解析した。化学療法のレジメン別の治療効果の特徴が示され、さらに化学療法とホルモン治療の効果の機序の違いを考察した。この増殖モデルから生存曲線を鑑みる手法は、臨床試験の結果を早期に予測することや補助療法と救済療法における治療効果の差異を説明することなど、治療の機序を考える上では非常に有用であると考えられた。
 

キーワード

臓器別:その他

手法別:基礎腫瘍学

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