演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

胸髄内転移をきたした原発性腹膜癌の一例

演題番号 : P35-3

[筆頭演者]
横田 奈朋:1 
[共同演者]
松橋 智彦:1、飯田 哲士:1、近内 勝幸:1、小野瀬 亮:1、加藤 久盛:1、浦丸 浩一:2、川崎 隆:2

1:地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター婦人科、2:横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科

 

悪性腫瘍の脊髄内転移は稀である.その原発巣は肺がん・乳がんが多いと報告されており,婦人科悪性腫瘍が原発巣となることはきわめてまれである.これまでに卵巣腫瘍を原発とした転移性脊髄内腫瘍の報告は散見されるが原発性腹膜癌が原発となった症例報告は国内の一例のみである.今回,原発性腹膜癌治療後,経過観察中に胸髄内転移を発症した症例を経験したので報告する.
症例は63歳 6経妊2経産 60歳時に癌性胸腹膜炎で発症し,腹水より腺癌(推定組織型漿液性腺癌)を認めた.画像所見では子宮卵巣に腫瘍は認めず,血清CA125 8615.9と上昇を認めた.原発性腹膜癌IV期と診断し術前化学療法としてTC療法を6コース施行したのち,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.手術摘出標本に残存腫瘍は認めなかった.術後補助化学療法としてTC療法を6コース追加した後,完全寛解と判断し外来経過観察となっていた.2年9か月後,通常の定期検診で受診し血清CA125 35.8と軽度上昇を認めたが,この時点ではパクリタキセルの副作用による末梢神経障害以外に神経学的所見は認めなかった.検診より3週間後,左下肢の進行性の脱力,歩行障害を主訴に受診.血清CA125 60.3と上昇を認め再発が疑われたが,頸部~骨盤部造影CTおよび頭部MRIに異常は認めなかった.さらなる精査の結果,第4胸椎の脊髄内に造影MRIT1強調画像で造影効果を伴う高信号を示す腫瘍が認められた.脊髄腫瘤摘出術を施行し腺癌が認められ腹膜癌の胸髄内転移と診断された.術後放射線照射40Gyを施行し,速やかに血清CA125は正常化した.両下肢の対麻痺は残存したがリハビリテーションを施行後,術後3カ月目に退院し現在在宅経過観察中である.
原発性腹膜癌原発の転移性脊髄内腫瘍の報告はこれまで国内の1例のみであり組織学的に類似する卵巣癌原発症例を含めても極めて稀である.治療は主に手術的摘出,放射線治療が行われているのもが多いが,化学療法を行った症例も報告されている.悪性腫瘍の脊髄内転移例の平均生存期間は6.1カ月と予後不良である.卵巣癌原発報告症例の転機を比較すると脊髄内転移発症時に他臓器に転移を認める症例では1年以内の死亡例が多いが,認めない症例では2年以上の無病生存が確認されている症例もあることから,他臓器に転移を認めない症例では積極的な治療を考慮すべきであると考えられた.

キーワード

臓器別:その他

手法別:集学的治療

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