演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

下大静脈進展を伴った腎細胞癌に対し、axitinibを用いた術前治療を行った症例

演題番号 : P28-7

[筆頭演者]
向井 尚一郎:1 
[共同演者]
木田 和貴:1、藤田 直子:1、齊藤 太朗:1、北 悠希:1、上別府 豊治:1、杉江 悟:1、鬼塚 千衣:1、月野 浩昌:1、上村 敏雄:1、分田 裕順:1、賀本 敏行:1

1:宮崎大学医学部泌尿器科

 

【緒言】腎細胞癌は静脈内へ進展する性質を持ち、約10%の患者に腫瘍塞栓がみられると報告されている。このような局所進行癌に対して手術療法を積極的に考慮するが、腫瘍塞栓の進展の程度により術式や周術期合併症リスクが異なる。このため、腫瘍塞栓の縮小、短縮による手術侵襲の軽減を目的とした術前薬物療法の有用性が検討されている。今回我々は淡明細胞癌に対し一定の腫瘍縮小効果を持ち、有害事象の制御が比較的容易なaxitinibを用いて、4例の下大静脈進展症例に対し術前療法の設定で治療を行った。全例axitinib 5 mg BIDで開始し、約3ヵ月間の治療後に画像評価を行い腎摘除術の適応を検討した。以下PSはECOG criteria、IVC進展レベルはNevesらの分類(Br J Urol, 1987)に準拠。【症例1】48歳男性、左腎腫瘍、肉眼的血尿を契機に診断、PS 0、cT3bN0M0、腫瘍塞栓レベルⅠ。治療後30.4%の原発巣の腫瘍縮小効果を認め、腫瘍塞栓レベルは0となり、腎摘除を行った。【症例2】62歳男性、右腎腫瘍、偶発的に診断、PS 0、cT3bN0M0、腫瘍塞栓レベルⅡ。治療後原発巣は26.6%縮小効果し、腫瘍塞栓レベルはⅠとなった。さらに、腫瘍塞栓によるIVCの閉塞が大幅に解除されたことにより、静脈壁の一部を切除することで腎摘除を遂行できた。【症例3】35歳男性、左腎腫瘍、腰背部痛を契機に診断、PS 0、cT3bN0M0、腫瘍塞栓レベルⅠ。治療による原発巣の縮小効果は16.2%、腫瘍塞栓の有意な短縮を認めなかったが、腎摘除術を施行した。【症例4】68歳男性、右腎腫瘍、肉眼的血尿を契機に診断、PS 1、cT3cN0M1、腫瘍塞栓は右心房に達しており、レベルⅣと診断した。3ヵ月間の治療で25.5%の原発巣の縮小がみられたが、腫瘍塞栓レベルはⅣのまま短縮せず、多発肺転移を認めることを考慮し、薬物療法を継続する方針となった。腫瘍塞栓レベルの短縮はみられなかったが、腫瘍塞栓の狭小化によりIVC閉塞は大きく解除され、付随する血栓も抗凝固療法との併用で改善した。【考察】4例中2例に腫瘍塞栓の短縮を認め、全例で原発巣の縮小を確認できた。腫瘍塞栓の短縮がみられた症例1、2では、有意に手術侵襲が軽減したと考えている。特に症例2では、腫瘍塞栓の狭小化によるIVCの閉塞の改善も、手術侵襲の軽減に寄与したと思われる。また、全症例の有害事象はG2以下で、有意な周術期合併症を認めなかった。安全性の観点からも認容される治療法と考えられた。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:分子標的治療

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