演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

ソラフェニブ長期曝露腎細胞癌モデルにおける分子プロファイリング解析

演題番号 : P28-1

[筆頭演者]
水本 篤志:1,2 
[共同演者]
山本 和宏:2、中川 勉:1、平野 剛:1,2、平井 みどり:1,2

1:神戸大学大学院医学研究科薬物動態学分野、2:神戸大学医学部附属病院薬剤部

 

【目的】近年、腎細胞癌化学療法において注目を集めているのが、各種分子標的治療薬を逐次的に投与するシーケンシャル治療である。この治療法は現在、様々な臨床試験が実施されており、既に、多くの報告でソラフェニブ(SR)→スニチニブ(SN)の順で投与した群の生命予後が逆の順序で投与した群と比較し、良好であることが確認されているが、投与順序による有効性を指示する生物学的根拠は十分に検証されていない。本研究では生物学的根拠に基づいた分子標的治療薬の治療アルゴリズムの確立を目的として、SRの長期曝露による細胞内シグナル分子変動および両薬剤の抗腫瘍作用に及ぼす影響を検討した。
【方法】ヒト腎癌細胞由来株Caki-1、786-Oに3ヶ月間SR、SN1μMを曝露させ、長期曝露モデルCaki-1/SR 、Caki-1/SNおよび786-O/SR、786-O/SNを樹立した。また各細胞におけるSR、SN72時間曝露後の細胞生存率をWST-8法により評価した。さらに各種薬剤曝露下におけるシグナル因子の変動解析をWestern Blot法およびImaging Cytometry法にて検討した。
【結果および考察】Caki-1/SRはCaki-1と比較し、P38リン酸化レベルの亢進、Vimentinの発現増大およびE-cadherinの発現減少が認められた。さらに、Imaging Cytometry法にてβ-cateninの細胞質内移行を定量した結果、Inclusion/Cell IntensityはCaki-1が5.7±2.18であるのに対し、Caki-1/SRでは12.3±2.48を示し、SR長期曝露によりβ-catenin細胞質内移行が有意に増大することを確認した。以上の結果より、SRの長期曝露はEMTを亢進させ、より悪性度の高いキャラクターに転換する可能性を示唆した。また、Caki-1、Caki-1/SNおよび786-O、786-O/SNにおけるSRのIC50(μM)は8.32±0.14、10.93±0.59および0.69±0.05、2.57±0.27を示し、有意なSR感受性の低下が認められた。その一方で、Caki-1、Caki-1/SRおよび786-O、786-O/SRにおけるSNのIC50(μM)は1.67±0.21、2.22±0.06および3.88±0.43、4.13±0.13を示し、SNの感受性に大きな変動は認められず、SR長期暴露によるEMT亢進の影響を介さないと考えられる。これは、既存の報告によるSR→SNの順で投与するシーケンシャル治療が有効であることを支持する結果であると推察する。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:基礎腫瘍学

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