演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

口腔癌における腫瘍内heterogeneityの頸部リンパ節転移巣への影響

演題番号 : P2-7

[筆頭演者]
鵜澤 成一:1 
[共同演者]
高橋 謙一郎:1、茂櫛 薫:2、森田 琢磨:1、守谷 友二朗:1、田中 博:2、原田 清:1

1:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面外科学、2:東京医科歯科大学難治疾患研究所ゲノム応用医科学研究部門 生命情報学

 

 癌は、従来の概念では、ほぼ単一な細胞集団と考えられ、それらが共通して発現している分子を標的にした、いわゆる分子標的薬がつぎつぎと開発され、標準治療として取り込まれている。しかし、近年の、次世代シークエンサーやMicroarray技術の発展により、マクロとして単一腫瘍内においても、ミクロにおいては、さまざまな遺伝的異常を伴ったクローンから構成されている、いわゆる「腫瘍内heterogenity」の存在が明らかとなってきた。
 一方、所属リンパ節への転移経路については、従来、センチネル理論があてはまるとすれば、まず、原発巣からほど近いセンチネルリンパ節に転移巣が形成され、そこから、さらに、別の遠位のリンパ節に連続的に転移してゆくと考えられている。この仮説からすれば、センチネルリンパ節の転移巣は、原発巣と遺伝的に相同性の高いクローンから構成され、遠位のリンパ節転移巣ほど相同性が低くなると考えられる(仮説1)。しかし、上述したごとく、「腫瘍内heterogenity」を考慮すると、それぞれの転移巣に原発巣の別々のクローンが転移する可能性(仮説2)や、原発巣を構成するクローンが時間的に変化する中で、それぞれの転移巣を形成している可能性(仮説3)なども考えられる。
 そこで、今回われわれは高密度(一塩基多型)SNPs Microarraysを利用して、口腔癌のホルマリン固定パラフィン包埋 (FFPE) 組織標本を利用し、全染色体上の約60万か所を超えるコピー数変異を解析し、原発巣と複数の転移リンパ節巣間のコピー数変異の一致率を検討することにより、原発巣内のheterogenityが転移巣形成に与える影響を検証した。対象症例として口底癌同時性頸部リンパ節転移例を用いた。原発巣、3つの領域(レベルIA,IB、Ⅲ)の頸部リンパ節転移巣のFFPE標本よりDNAを抽出・精製し、全ゲノムコピー数解析を行った。
 その結果、同じ原発巣から生じ、臨床的に同時性と評価された転移リンパ節内の癌細胞であっても、その染色体上の領域のコピー数変異の内容は大きく異なることが判明した。すなわち、仮説1は否定的であり、少なくとも頸部への複数個のリンパ節転移は必ずしも連続的に起きているものではない可能性が示唆された。現在、仮説2、3を証明すべく、さらに症例を増やして、変異の内容に関する詳細な検討を行っている。

キーワード

臓器別:口腔

手法別:ゲノム・遺伝子

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