演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

口腔扁平上皮癌症例に対する術前S-1単独療法の効果

演題番号 : P2-3

[筆頭演者]
今井 智章:1,2 
[共同演者]
中澤 光博:1、楠山 友紀子:1、松本 由香:1,3、仁木 敦子:1、加藤 逸郎:1、墨 哲郎:1、末松 基生:3、網野 かよ子:4、由井 俊平:5、高瀬 俊幸:6

1:大阪大学大学院歯学研究科口腔外科学第2、2:社会福祉法人恩賜財団済生会支部大阪府済生会千里病院歯科口腔外科、3:医療法人明和病院歯科口腔外科、4:西宮市立中央病院歯科口腔外科、5:公益財団法人天理よろづ相談所病院歯科口腔外科、6:市立豊中病院歯科口腔外科

 

【背景】当科では口腔扁平上皮癌の手術適応症例に対して、手術までの待機期間を利用して、S-1単独の化学療法を実施している。この方法は導入化学療法としてではなく、進行の防止を目的としているが、抗腫瘍効果が良好な症例が多く、PRやCRに至る症例もみられる。今回、術前のS-1単独投与の効果を検証し、その是非を検討する。
【対象と方法】口腔扁平上皮癌新鮮例で、手術を根治療法として術前にS-1を投与した患者105例を対象とした。原発部位は舌42例、歯肉37例、頬粘膜15例、口底8例およびその他3例であった。T stage別では、T1:26例、T2:64例、T3:7例、T4:8例であった。S-1投与は、80 mg/m2を2週連日投与1週休薬とした。総投与量の中央値は1680 mg (160~6720 mg)であり、投与日数は14日 (2~56日)であった。予定手術は、98例に対して実施した。臨床的CRの得られた20例のうち7例は生検のみに止めた。組織学的効果は大星・下里の方法に従って評価した。
【結果】摘出物の病理検査の結果、組織学的CR (grade ⅢとⅣ)が得られた症例は22例(20.9%)であった。PRも含めた奏効率は43.8%であった。T stage別のCR率は、T1: 26.9%、T2: 23.4%、T3: 14.3%、T4: 12.5%であり、奏効率はT1: 46.2%、T2: 45.3%、T3: 57.2%、T4: 12.5%であった。原発部位による奏効率(CR率)は舌38.1%(16.7%)、歯肉43.2%(18.9%)、頬粘膜60%(40%)、口底37.5%(25%)であった。術後再発率は、全症例で NC: 13.6%、PR: 9.1%、CR: 4.2%であった。所属リンパ節への後発転移率は、NC: 18.6%、PR: 18.2%、CR: 0%であった。有害事象は、予定手術を妨げるような重度のものは認められなかった。
【考察】T stage別の再発・後発転移率はT1・T2ではともに0%であり、小さな腫瘍ほど有効であることが示された。T3以上の症例は、対象患者数が少ないため、十分なデータは得られないが、T4において、有効例ほど再発・後発転移が少ないことが示された。術前に手術の待機期間を利用して行うS-1単独の化学療法は、特にT1・T2症例において有効例が多く、問題となる有害事象も少ないことから、有用な化学療法であると考えられた。

キーワード

臓器別:口腔

手法別:化学療法

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