演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

膣壁筋腫との鑑別が困難であった直腸膣中隔発生Gastrointestinal stromal tumorの1例

演題番号 : P15-12

[筆頭演者]
西本 裕喜:1 
[共同演者]
李 理華:1、矢壁 和之:1、田村 博史:1、杉野 法広:1

1:山口大学医学部産婦人科

 

消化管間質腫瘍Gastrointestinal stromal tumor (GIST)は、消化管原発の平滑筋腫や神経鞘腫を含めた間葉系腫瘍の総称であり、消化管のpacemaker としての役割を担っているCajal の介在細胞を起原として発症することが知られている。このため、Cajal 細胞に特徴的なc-kitprotooncogene蛋白であるKIT、あるいはmyeloid stem cell antigenであるCD34 が陽性となることが多い。GISTは臓器別では胃に60~70%、小腸に20~30%程度と報告されており、大腸には稀である。今回我々は、膣壁筋腫との鑑別が困難であった直腸膣中隔GISTの1例を経験したので報告する。症例は53歳、3経妊3経産。平成16に膣後壁に発生した4cm大の腫瘤に対し、経膣的腫瘤摘出術を施行した。病理組織検査は、cellular leiomyomaであり膣壁筋腫と診断した。平成23に帯下増加を主訴に近医を受診し、膣壁筋腫の再発を疑われ当院に紹介となった。前回と同部位に7cm大の膣壁腫瘍を認め、筋腫再発の診断下、GnRHアゴニスト療法後に手術の方針とした。GnRHアゴニスト療法中に腫瘍系の増大と、腫瘍からの出血を認めた。経膣的に腫瘍の組織生検を施行したところ、HE染色では、紡錘形核を有し異型性のない紡錘形細胞が束状錯綜配列を呈しておりcellular leiomyomaが疑われたが、免疫染色でKit、CD34陽性で、平滑筋actin、desmin、s-100は陰性であり、GISTと診断された。経腹及び経膣的に、膣後壁と直腸の一部を合併して腫瘍を摘出した。摘出標本の病理組織検査にて、腫瘍細胞分裂数>10/50HPF、また腫瘍径>5cmであったことから、悪性GIST高リスク群と診断し、イマチニブ療法を施行した。その後、再発兆候なく経過している。尚、平成16年の初回手術の病理組織を再度免疫組織染色に提出したところ、GISTと診断された。GISTは通常のHE染色でその組織型の予測がある程度可能とされているが、本症例のように組織像のみでは診断できないこともあり、最終的な診断は、免疫組織化学染色(Kit、CD34、desmin、s-100)によって行われる。本症例では、初回発症でGISTの診断に至ることができず、再発を来し、その診断に苦慮した。膣腫瘍の鑑別にはGISTも考慮すべきであり、また平滑筋腫と非常に類似した組織像を呈する可能性があること、その鑑別には免疫組織科学染色を含めた評価が必要であることを念頭に置くべきである。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:診断

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