演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

緊急手術時に子宮付属器合併切除を伴う直腸前方切除を施行した高齢者直腸癌穿孔の1例

演題番号 : P14-3

[筆頭演者]
藤竹 信一:1 

1:蒲郡市民病院外科

 

【症例】初診時年齢81才, 女性.2日来の腹痛の増強にて当院救急外来を受診し穿孔性腹膜炎にて当科に紹介となった.脱水が顕著だったが, ショックバイタルには至っていなかった.腹部は板状硬で,CTでは肝周囲に少量のfree airと腹部右側にdirty fat signを認めたが, 胃十二指腸の壁肥厚などは目立たず,上部消化管穿孔かは判然としなかった.穿孔部位不明のまま緊急手術を施行した.Rsa直腸癌が子宮,右付属器と一塊となり腫瘍の一部が穿孔していた.大量の糞便による汚染はなく,便がしみ出したような混濁腹水による腹腔内の汚染を認めた.腫瘍を含むS状結腸から直腸を子宮,右付属器と共に切除し, Hartmannの手術とした.病理組織学的には,tub2, se, ly1, v2で合併切除した卵巣,子宮とは炎症性線維性の癒着のみだった(pT3,pNx,M0).術直後よりPMX,CHDFを施行した.脱水に対して連日相当量の輸液を施行したが心不全には至らず循環動態は安定した.一時DICも呈したが,その後改善し4PODに抜管した.7PODに呼吸運動低下よる換気不全となり再挿管となった.肺炎や肺うっ血,急性肺障害を疑う所見は無かった.13PODに気管切開術を施行した.その後,創感染による開腹創の離開は認めたが腹腔内膿瘍の形成は無かった.喀痰や便よりMRSAが検出されたが抗菌薬にて改善した.全身状態は漸次改善し,腹壁離開創の再縫合,リハビリテーションを経て98PODに退院となった.初回手術6ヶ月後に肝転移が出現したが,capecitabine単剤で約28ヶ月に渡りコントロール良好で, 局所再発や腹膜播種は認めていない.【考察】直腸穿孔では穿孔部を含めた腸管切除が原則だが,その際,感染の場の拡大を防ぐため,仙骨前面の剥離や脾彎曲の授動など腹膜剥離は控えるべきとされている.直腸癌穿孔では,緊急時に患者の全身状態や汚染の程度に加え,癌の進行度などによって術式選択を迫られるが,その判断は難しい.自験例では, 癌と感染のフォーカスが遺残せぬよう周囲臓器合併切除を伴う一期的切除としたが組織学的に切除範囲は過剰となり, 入院も長期化してしまった. 幸い最終的には独歩退院に至り,肝転移は出現したものの局所再発は認めておらず元気に日常生活を送っている.2期的手術を選択していたら緊急手術後の経過はスムーズとなった可能性もあるが,感染の制御が困難となったり,残った癌が進行し切除不能となった可能性も否定できないなど様々な経過が考えられた.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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