演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

下腸間膜静脈内腫瘍塞栓を合併した直腸癌の1例

演題番号 : P125-9

[筆頭演者]
高橋 賢一:1 
[共同演者]
舟山 裕士:1、生澤 史江:1、徳村 弘実:2、豊島 隆:2、西條 文人:2、松村 直樹:2、野村 良平:2、武藤 満完:2、安本 明浩:2、澤田 健太郎:2、柴原 みい:2、千年 大勝:2、望月 保志:2

1:独立行政法人労働者健康福祉機構東北労災病院大腸肛門外科、2:独立行政法人労働者健康福祉機構東北労災病院外科

 

【症例】60歳代男性。2011年12月中旬より下痢が続いていたため、2012年3月に近医を受診した。大腸内視鏡検査で下部直腸の腫瘍を指摘され、生検にて直腸癌の診断となった。手術目的に4月上旬に当院紹介入院となった。注腸造影検査では下部直腸に長径6cmの全周性の2型腫瘍が認められ、入院時の採血でCEA 218と腫瘍マーカーの著明高値が認められた。胸腹部CT検査では下部直腸に全周性の壁肥厚が認められ、多数の壁在リンパ節腫大を伴っていた。肺や肝への転移は認められなかったが、下腸間膜静脈が左腎下極レベルまで拡張し、内部に低吸収域が認められた。採血にてFDPは基準値以下であったことから腫瘍塞栓の可能性が高いと考えられた。Stage IIIb下部直腸癌の診断で、5月上旬に直腸低位前方切除術、両側側方郭清術を施行した。静脈内の腫瘍塞栓は上直腸静脈から一部左結腸静脈内に進展し、下腸間膜静脈内まで達していた。腎下極レベルの腫瘍塞栓頭側端の中枢側で下腸間膜静脈を結紮切離し、腫瘍塞栓を静脈ごと完全切除した。手術所見:Rb, circ, 2型, A, N2, H0, P0, M0, Stage IIIb, 開腹, 低位前方切除術, D3, 端々吻合、器械吻合(DST), AN4, PM0, DM0, RM0, R0, CurA。病理組織所見:tub2, pA, int, INFb, ly2, v3, pPM0, pDM0, pRM0, pN2(7/50)。病理学的にも下腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を確認できた。手術の3週間後に中心静脈ポートを留置し、術後補助化学療法としてmFOLFOX6療法を計12回施行した。術後1年10ヶ月を経過し、明らかな再発所見を認めていない。【考察】下腸間膜静脈内に腫瘍塞栓を合併する大腸癌症例は比較的稀であり、本邦では1983年から2013年まで9例の報告がみられる。うち血行性転移を伴う症例は3例であったが、9例中8例は生存しており(観察期間の中央値:42ヶ月)、比較的予後良好であった。直近3例の報告では自験例と同様にFOLFOX法による補助化学療法が行われており、腫瘍塞栓を含めた完全切除に加え、こうした補助化学療法の積極的施行により根治が期待できると考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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