演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

S-1とワルファリン併用患者における血液凝固能変動についての実態調査

演題番号 : P125-1

[筆頭演者]
山本 香織:1 
[共同演者]
鈴木 真也:1、野村 久祥:1、布施 望:2、齊藤 真一郎:1

1:独立行政法人国立がん研究センター東病院薬剤部、2:独立行政法人国立がん研究センター東病院消化管内科

 

【背景】
ワルファリン(WF)はS-1などのフルオロウラシル系製剤との併用時、相互作用で抗凝固作用が増強することがある。S-1、WFの併用時はPT-INRの変動に注意し、WFの用量を調節するが実地臨床ではその調節に難渋することもある。現時点でS-1、WF併用時のPT-INR変動の報告は少なく、具体的な相互作用発現時期は明らかでない。
【目的】
S-1、WF併用患者におけるPT-INRの推移を調査し、相互作用の発現時期をはじめ治療の実態を把握する。
【方法】
2009年1月~2013年12月にS-1内服開始前よりWFを内服し、かつS-1内服開始後もWFを継続内服している患者を対象に、診療録を用いて後方視的に調査した。各疾患におけるPT-INRの治療域は各々のガイドラインを参照した。有害事象はCTCAE v.4.0で評価した。
【結果】
対象症例は21例(男18、女3)、年齢中央値(範囲)は69歳(48-81)、投与レジメンはS-1単剤18例、S-1+CDDP療法1例、DOC+CDDP+S-1療法2例、がん種は胃癌8例、肺癌5例、膵癌4例、大腸癌、頭頸部癌、乳癌、胆嚢癌各1例、WFの投与目的は深部静脈血栓症11例、心房細動6例、脳梗塞2例、内頸動脈狭窄1例、門脈血栓症1例であった。S-1、WF併用開始時、PT-INR値が治療域内であったのは13例(62%)、治療域以下であったのは8例(38%)、S-1開始に伴いWFを減量した症例は1例であった。併用開始後PT-INR値が治療域を超えたのは16例(76%)、治療域を超えなかったのは5例(24%)であり、各々の併用開始時のWF投与量の中央値(範囲)は3mg(1.0-4.5)、2.5mg(1.0-3.0)であった。併用開始後、8例はWFの用量調節にも関わらず複数回PT-INR値が治療域を超えたが、初めてPT-INR値が治療域を超えた日数の中央値(範囲)は25日(3-77)であった。また有害事象として処置を必要とした貧血Grade3が2例認められた。
【結語】
WF服用患者はS-1併用によりPT-INR値が各疾患における治療域を超える傾向にあり、併用開始後、治療域を超えるまでの期間中央値(範囲)は25日(3-77)であった。しかし、相互作用発現時期の個人差は大きく、併用時は定期的なPT-INR値のモニタリングおよびWFの用量調節が必要である。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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