演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

ティーエスワン誘発性食欲不振モデルラットの作製と解析

演題番号 : P123-3

[筆頭演者]
岩橋 理紗:1 
[共同演者]
山下 郁太:1、入江 圭一:2、寺岡 里織:1、吉武 摩耶:1、中野 貴文:3、林 稔展:4、佐藤 朝光:5、松尾 宏一:6、岩崎 克典:1,2、三島 健一:1,2

1:福岡大学薬学部臨床疾患薬理学教室、2:福岡大学加齢脳科学研究所、3:福岡大学病院薬剤科、4:独立行政法人国立病院機構九州がんセンター薬剤科、5:福岡大学薬学部微生物薬品化学教室、6:福岡大学薬学部実務薬剤学教室

 

【背景】
フッ化ピリミジン系の抗がん剤であるティーエスワン(TS-1)は、術後補助化学療法などに使用され、長期にわたり服用することが多い薬剤である。またTS-1により発現する食欲不振のため、その治療を完遂できない症例も少なくない。このようながん化学療法に伴う食欲不振の原因は、一般に、化学療法による副作用(悪心、嘔吐、胃腸障害、味覚障害、倦怠感など)や原疾患に由来する。TS-1は、他のフッ化ピリミジン系抗がん剤に比べて食欲不振が発現しやすい。そのため、TS-1 による食欲不振は同一系統薬剤が示す発現機序に加え、他の機序があると予想される。よって、TS-1服用時の食欲不振が起こる原因を知ることは、適切な支持療法を確立する上で重要である。そこで本研究は、TS-1誘発性食欲不振モデル動物を作製し、そのモデルが示す特徴について解析を試みた。
【方法】
実験には、8週齢 Sprague-Dawely 系雄性ラットを用いた。ラットにTS-1(10, 15, 30 mg/kg)を14日間、1日1回経口投与を行った。TS-1を投与したラットの摂食量を測定し、体重量を記録した。このとき運動量を測定した。また、TS-1により摂食量が低下したラットに対し、20%スクロースを経口投与し、尾静脈より血液を採取した。採取した血液のグルコース濃度を血糖測定機器(アキュチェックアビバナノ、ロシュ社)で測定した。
【結果】
TS-1 15 mg/kgを14日間投与することで、ラットの摂食量を減少させ、体重増加を抑制した。このとき、ラットの運動量に影響を与えなかった。また、TS-1を投与したラットに対して、スクロースを経口負荷したところ、血中グルコース濃度が増加した。
【考察】
TS-1 15 mg/kgをラットに14日間経口投与すると、食欲不振を起こすことが確認された。加えて、このTS-1誘発性食欲不振モデルは、体重量への影響を伴うことが明らかとなった。このとき、ラットは運動量が低下するような倦怠感はなかったと考えられる。そのため、倦怠感による食欲不振である可能性は低いと考えられた。また、TS-1 15 mg/kg投与したラットにおいて、スクロース負荷後、スクロースの分解とグルコースの吸収が行われることが明らかとなった。よって、糖の消化吸収機能は維持されており、TS-1投与時の体重増加抑制に糖吸収能は関与しないことが示唆された。作製したTS-1誘発性食欲不振モデルを詳細に解析することが、TS-1服用時の食欲不振に対する支持療法の確立につながることが期待される。

キーワード

臓器別:その他

手法別:トランスレーショナルリサーチ

前へ戻る