演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

オキサリプラチン誘発性末梢神経障害ラットのCharcot-Marie-Tooth病原因遺伝子の動態

演題番号 : P123-2

[筆頭演者]
寺岡 里織:1 
[共同演者]
入江 圭一:2、山下 郁太:1、岩橋 理紗:1、吉武 摩耶:1、明瀬 孝之:1、原 暦:1、百武 美香:3、市丸 優希:4、林 稔展:5、松尾 宏一:6、佐藤 朝光:3、三島 健司:7、岩崎 克典:1,2、三島 健一:1,2

1:福岡大学薬学部臨床疾患薬理学教室、2:福岡大学加齢脳科学研究所、3:福岡大学薬学部微生物薬品化学教室、4:公立学校共済組合九州中央病院薬剤科、5:独立行政法人国立病院機構九州がんセンター薬剤科、6:福岡大学薬学部実務薬剤学教室、7:福岡大学工学部化学システム工学科

 

【背景】
大腸がん治療のキードラックである白金系抗がん剤オキサリプラチン(L-OHP)は、急性期より低温知覚異常、その後、遅発的に機械的アロディニアを発現する。これらの末梢神経障害は高頻度で発現し、臨床上大きな問題である。一方、Charcot-Marie-Tooth病 (CMT)は遺伝的に感覚性及び運動性の末梢神経障害をおこす疾患であり、現在までに、peripheral myelin protein 22(PMP22)やmyelin protein zero(MPZ)など、40以上のCMT原因遺伝子が特定されている。また、CMTは末梢神経障害を起こす抗がん剤によって増悪することが知られている。末梢神経障害を頻発するL-OHPもCMTを増悪することが予想されるが、詳細は明らかとなっていない。そこで、本研究は、L-OHP誘発性末梢神経障害モデル動物を作製し、そのモデルを用いてL-OHPがCMT原因遺伝子の発現量に与える影響を検討した。
【方法】
実験には8週齢のSprague-Dawley系雄性ラットを用いた。ラットにL-OHP 4 mg/kgを1週間2日間連続で腹腔内投与し、この投与操作を1サイクルとした。その後、この投与操作を最大4サイクル繰り返した。L-OHPを投与したラットの冷刺激に対する反応をアセトン試験、機械的刺激に対する反応をvon Frey試験により評価した。また、L-OHPを投与後1,4サイクル目のラットの脊髄を摘出し、トリゾールを用いてtotal RNAを抽出し、CMTの原因遺伝子 (PMP22, MPZ) について、real-time-PCR法により解析した。
【結果】
アセトン試験において、L-OHP 4 mg/kgは、1-4サイクル目のラットの冷刺激に対する反応回数を有意に増加させ、反応するまでの時間を短縮させた。また、von Frey試験において、L-OHP 4 mg/kgは、2-4サイクル目のラットの機械的刺激に対する反応閾値を有意に低下させた。さらに、L-OHPは4サイクル投与することで、ラット脊髄におけるMPZ遺伝子の発現量を減少させた。
【考察】
ラットにL-OHP 4 mg/kgを投与することで、1-4サイクル目に低温知覚異常、2-4サイクル目に機械的アロディニアがみられた。これらの神経障害は臨床におけるL-OHPの副作用の発生経緯と類似していた。また、L-OHP投与後4サイクル目のMPZ遺伝子の発現量が減少しており、L-OHPはCMT原因遺伝子に影響を与えることが明らかとなった。CMTはMPZの欠損によって、病状が悪化する。そのため、L-OHPはCMTの病態を増悪することが示唆された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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