演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

培養造血器腫瘍細胞株におけるアルキル化薬感受性とDNA修復関連因子との相関

演題番号 : P123-1

[筆頭演者]
山内 高弘:1 
[共同演者]
荒井 肇:1、上田 孝典:1

1:福井大学医学部血液・腫瘍内科

 

アルキル化薬中心的抗腫瘍薬のひとつでDNA鎖内、鎖間にadductを形成し抗腫瘍効果を発揮する。Monofunctional agentsではアルキル化グアニンを形成し次のDNA複製で塩基対パートナーとしてシトシンでなくO6-methyl guanine-thymineを形成する。ミスマッチ修復が惹起されチミンの除去が不成功に繰り返されDNA鎖切断が生じアポトーシスに至る。Bifunctional agentsは反応基を2箇所有しDNA鎖間に架橋を形成し抗腫瘍効果を発揮する。この修復にはヌクレオチド除去修復とrecombinationが関与する。アルキル化薬全般にアルキルグアニンメチル基転移酵素(MGMT)がアルキル化グアニンを修復する。本研究ではmonofunctional agentテモゾロミド (TMZ)、bifunctional agentカルムスチン(BCNU)を用い培養細胞各種で感受性、MGMT、ミスマッチ修復に関与するMLH1、MSH2、ヌクレオチド除去修復に関与するERCC1のmRNAレベルを検討した。細胞株は、骨髄性白血病HL-60、骨髄性白血病K562、Tリンパ性白血病MOLT-4、骨髄腫RPMI8226、Bリンパ性白血病697、骨髄腫TIB196(U266B1)を用いた。薬剤感受性を増殖抑制試験により同定した。MGMT、MLH1、MSH2、ERCC1のmRNAレベルをreal time RT-PCR法により定量した。HL-60、K562、MOLT-4、RPMI8226、697、TIB196(U266B1)のTMZによる50%増殖抑制濃度はそれぞれ49 μM、38 μM、191μM、42 μM、160 μM、260 μMであった。HL-60、K562、MOLT-4、RPMI8226、697、TIB196(U266B1)のBCNUによる50%増殖抑制濃度はそれぞれ10 μM、30 μM、22 μM、5 μM、30 μM、38 μMであった。MGMTの阻害薬であるベンジルグアニン(BG)存在下でHL-60、K562、MOLT-4、RPMI8226、697、TIB196(U266B1)のTMZ、BCNUによる50%増殖抑制濃度はそれぞれ4.5, 3 μM、15, 13 μM、169, 1.4 μM、0.4, 0.3 μM、2, 5 μM、40, 60 μMであった。また、MGMTの発現レベルはMOLT-4で最も高く、K562とTIB196(U266B1)で低値であった。MLH1とMSH2では同様な発現パタンでHL-60とMOT-4で最も高く、K562、697、TIB196(U266B1)で低値であった。ERCC1についてはK562で最も高く、RPMI8226で低値であった。このようにBG追加によりすべての細胞株でのTMZ, BCNUの感受性が改善したことからMGMTの関与が強く示唆された。しかしながらDNA修復に関与する因子の発現レベルと薬剤感受性には相関は得られず、TMZ、BCNUの薬剤感受性はDNA修復機構の面からだけでは予測しえないと考えられた。

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:感受性試験

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