演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

Temsirolimus投与における重度のInfusion Reaction症例

演題番号 : P109-9

[筆頭演者]
森田 順:1 
[共同演者]
古敷谷 淳:1、松井 祐輝:1、小川 祐:1、中里 武彦:1、押野見 和彦:1、佐藤 直也:2、麻生 太行:1、直江 道夫:1、冨士 幸蔵:1、小川 良雄:1

1:昭和大学泌尿器科学講座、2:公益財団法人東京都保健医療公社 荏原病院泌尿器科

 

転移性腎細胞癌における分子標的治療薬の一つとしてTemsirolimusは主にMSKCC risk分類などでいうPoor risk groupのfirst line治療として使われてきている。有害事象も多岐にわたるが、その中で大きく明記されているものとして重度のinfusion reactionが挙げられる。今回、我々は生命を脅かす重度の症例を経験したので報告する。
症例は81歳女性。ヒダリ側腹部痛を主訴に当院紹介受診。超音波に引き続いて施行されたCTにて腎門部リンパ節腫大を巻き込む径10cmの腎全体を占める左腎腫瘤ならびに胸水貯留を指摘された。組織診断目的にてCT下生検を施行した所、Renal cell carcinoma (Papillary type) s/o という結果であった。また、胸水穿刺液細胞診はClassⅤであった。
転移性腎細胞癌、cT2bN2M1、MSKCC risk、poor riskの診断にて、分子標的治療薬Temsirolimus 25mgを入院のうえ導入することとなった。1回目の投与直後は特に異常を認めなかったが4日目に腎不全が出現し、CTで腹膜播種による対側水腎症を認めたため尿管ステント留置を施行し、軽快を得た。さらに、8日目には腹部を中心にG2の皮疹を認め対症療法にて軽快した。諸症状が軽快した初回投与から19日目に2回目の投与を施行した。投与5分後に意識消失、血圧低下、呼吸困難、ほぼ無呼吸のアナフィラキシー様症状を認めたため、すぐに救命処置を施行。用手補助呼吸、酸素投与、アドレナリン、副腎ステロイド剤投与により意識回復、呼吸循環動態の改善を得た。その後は、厳重な観察下のもと翌日には元の状態にまで改善することができた。
抗悪性腫瘍薬における24時間以内の急性期の過敏性反応は、infusion reactionと考えられている。通常は初回投与後24時間以内に発症するが、まれに2回目以降に発症することもある。Temsirolimusには、有害事象として重度のinfusion reactionが明記されているがその頻度は明らかではなく、本邦における市販後調査では、2014年3月現在までにアナフィラキシーショックとして3例が記載されており、死亡例は認めてはいない。今回は2回目投与の際に起こった出来事ではあったが、入院中、かつ看護師も病床に付き添っていたため、異常察知、救命処置を迅速に行うことにより一命を取り留めることができた。本症例から学ぶinfusion reactionについて若干の文献的考察を交えて報告する。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:分子標的治療

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