演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

脳腫瘍放射線治療の新戦略

演題番号 : OS7-5

[筆頭演者]
芝本 雄太:1 

1:名古屋市立大学大学院医学研究科放射線医学分野

 

 近年発展した高精度放射線治療のうち、定位照射は病巣部のみに集中して照射する方法で、周辺正常組織との境界はシャープであるが、一方、強度変調放射線治療(intensity-modulated radiation therapy, IMRT)においては、病巣部から周辺にかけて、定位照射より緩やかな線量勾配がつけられる。悪性脳腫瘍、特に神経膠腫、においては、IMRTによって腫瘍塊の部分により高線量を投与し、周辺の浸潤部分の線量を少し下げるsimultaneous integrated boost(SIB)照射法が標準的に用いられるようになりつつある。また髄芽腫の全脳脊髄照射においては、トモセラピーを用いたつなぎ目のない照射法が有用であり、胚腫の全脳室照射においては、脳室系にはIMRTによって24Gy、腫瘍床/残存腫瘍部分にはSIB法によって30Gyを投与する、といった高度な照射法が行われるようになっている。聴神経腫瘍、頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、髄膜腫などの良性脳腫瘍は正常脳組織との境界が明瞭であるので、悪性脳腫瘍よりもむしろ定位照射のよい適応と考えられ、初回治療として用いられる頻度が高くなってきている。近年はさらに新しい粒子線治療が発展しつつある。炭素イオン線治療は、正常脳組織に対する影響が比較的大きいため、適応は慎重に判断される必要があり、脳腫瘍に対する有用性については今後の検討課題である。一方、陽子線治療は頭蓋底腫瘍などの光子線では制御しにくい腫瘍がよい適応になると考えられている。原発性脳腫瘍に対する陽子線治療の評価は、まだこれからの段階である。本講演では、上述の種々の脳腫瘍に対する新しい放射線治療法を紹介し、また種々の高精度放射線治療・粒子線治療の新しい装置やモダリティについてもそれぞれの特徴を述べ、今後の方向性を探っていきたい。

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