演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

福島における小児甲状腺癌治療

演題番号 : OS3-5

[筆頭演者]
鈴木 眞一:1 

1:福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座

 

小児甲状腺癌は全甲状腺癌の約1-2%と稀なものとされてきた。発見時には肺転移や広範なリンパ節転移を認め、一見進行している様に見えても長期予後は極めて良好である。
 2011年3月11日、東日本大震災後に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故後、福島県では長期にわたる放射線の健康影響と向き合わなければならなくなった。福島県では県民健康調査が開始され、その1つとして事故当時の小児甲状腺超音波検査が開始されている。すでに先行調査が終了し、甲状腺癌も発見されている。この、従来の有症状甲状腺癌とは異なり、超音波スクリーニングで発見された無症状の小児甲状腺癌に対する治療経験について報告する。
 対象は2011年10月から2013年12月31日までに一次検査が施行された269,354名(受診率80.8%)である。そのなかで二次検査が必要とされた1796名のうち75名が穿刺吸引細胞診によって悪性ないし悪性疑いとなった。34名がすでに手術が施行され、33名に甲状腺癌が確定した。うち当科で手術を実施した31例につき報告する。
 手術時平均年齢は16.4歳(9-20歳)、男女比14:17、23年度(国指定の避難地地域等の13市町村)施行例9例、24年度施行例22例である。
手術時平均腫瘍径14.9㎜(6-31㎜)である。術前診断でT1 22例(T1a7例、T1b15例)、T2 7例、T3 2例、N0 19例、N1 12例(N1a 4例、N1b 8例)、M0 29例、M1(肺)疑い2例であった。手術は片葉切除28例、全摘3例、リンパ節郭清は中央区域郭清19例、外側区域郭清12例であり、術後病理診断では、乳頭癌(通常型)24例、濾胞型乳頭癌3例、びまん性硬化型乳頭癌3例、低分化癌疑い1例であった。pT 21例(pT1a 9例、pT1b 12例)、pT2 3例、pT3(EX1)7例、pN0 7例、pN1 24例(pN1a 12例、pN1b 12例)であった。術前M1(肺)疑いが2例あり、全摘術後血中Tgが感度以下に低下したため、後日肺CTないし131Iシンチグラフィを予定している。
全例術中NIMによる反回神経モニタリングを行い、中央区域郭清では3cm、外側区域郭清では3-5cmの皮膚小切開にて実施した。反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症は認めていない。

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