演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

小児甲状癌の臨床的特徴と治療成績

演題番号 : OS3-3

[筆頭演者]
内野 眞也:1 
[共同演者]
野口 志郎:1

1:医療法人財団野口記念会野口病院外科

 

【はじめに】小児甲状腺癌は非遺伝性の乳頭癌あるいは濾胞癌と,遺伝性髄様癌,家族性大腸腺腫症,Cowden病などに伴う遺伝性甲状腺癌に大別される.
【乳頭癌】当院で治療を行った1961-2005年迄の19歳以下の乳頭癌は142例(男17,女125)であり,同時期に手術した乳頭癌の1.5%であった.140例は10歳以上であり,9歳以下は2例のみ,平均腫瘍径は20.4±17.3mm(1-75mm),治療法は,葉切除あるいは部分切除45例(32%),亜全摘85例(60%),全摘12例(8%)であり,術後頸部外照射を59例(42%)に行ったが,放射性ヨウ素内用療法は1例もない.再発は139例中28例(20%)に認め,その部位は頸部リンパ節25例,残存甲状腺5例,肺9例,縦隔1例,その他3例であった.3例(2%)が原病死しており,5例は他病死であった.術後40年の無病再発率は74.1%,疾病特異的生存率は97.5%であった(平均観察期間21.8±12.0年).
【濾胞癌】当院で治療を行った1946-2005年迄の20歳以下の濾胞癌は20例(男2,女18),同時期に手術した濾胞癌の1.9%であった.全例11歳以上であり,平均腫瘍径は27.9±21.9mm(2-85mm),治療法は,葉切除が11例,亜全摘が8例,全摘は1例であり,術後頸部外照射を8例に行った.補完全摘や放射性ヨウ素内用療法は1例もない.病理診断では微少浸潤型が16例,広範浸潤型が4例,再発は3例(15%)に認め,その部位は残存甲状腺2例,頸部リンパ節1例,部位不明1例であった.全例生存しており,術後30年無病再発率は62.8%,疾病特異的生存率は100%であった(平均観察期間23.7±13.3年).
【髄様癌】MENコンソーシアムデータによると,登録されている遺伝性髄様癌で手術を受けた437例中20歳以下の小児は51例あり,いずれも10歳以上であった.平均腫瘍径は18.3±13.8mmであり,10mm以下は12例しかなかった.生化学再発は20%(9例),臨床再発は18%(8例)に認め、両者を併せた再発率は38%と比較的高率であった.
【家族性大腸腺腫症に伴う乳頭癌】病理組織型は特徴的な篩状型乳頭癌を呈し,一般に浸潤性増殖は示さず,リンパ節転移もほとんどきたさない.予後は極めて良好と推定されるが,多数例の長期追跡結果はまだ報告されていない.
【結論】小児甲状腺は稀であり,その組織型も特殊なものが含まれているのが特徴である.しかしその治療経験に関するデータ蓄積はまだ不十分である.今後,全国の症例データベースを構築していくことも必要と思われる.

前へ戻る