演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

食道癌の最新の化学療法と期待される新薬

演題番号 : OS14-6

[筆頭演者]
浜本 康夫:1,2 

1:慶應義塾大学医学部消化器内科、2:慶應義塾大学医学部腫瘍センター

 

食道扁平上皮癌に対する薬物療法は5-FU系薬剤、プラチナ系薬剤およびタキサン系薬剤が実地診療で頻用されている。他の臓器と異なる特徴は、1. 薬物療法単独の比較試験が困難であるため新規薬剤の導入が遅い、2. 放射線との併用レジメンも重要、3. 国際的には腺癌と同時開発されるため本邦の実情と乖離する、ことなどがあげられる。
一方、薬物療法単独で比較試験が困難であるものの手術や放射線を用いた集学的な治療開発に関しては本邦から盛んにエビデンスが発表している。特に日本臨床腫瘍グループ(JCOG)の食道グループが中心となったランダム化比較試験は継続的に標準治療を確立している。現在は、ステージII/III(non-T4)食道癌に対するランダム化比較試験であるJCOG1109(NeXT試験)の症例集積中である。この試験は、術前補助療法として5-FU+CDDP療法(FP)を標準治療とし試験治療に放射線化学療法(5-FU+CDDP+照射41.4Gy)あるいはDocetaxel+CDDP+5-FU療法(DCF)を比較する3アームの大規模な研究で世界的に注目されている前向き試験といえる。またDCF療法は抗腫瘍効果がきわめて高いため食道切除を回避せざる得ないT4症例に対して術前療法として導入しConversion可能な場合には切除を試みる前向き試験(COSMOS試験)も国内で症例を集積しており、将来的にはpost JCOG0303としてランダム化比較試験を検討中である。
新規薬物療法に関しては承認申請をしたものの見送られていたパクリタキセルが公知申請で承認。またTS-1は承認申請をえられていないものの社会保険診療報酬支払基金が使用事例に関して審査上認める発表しており今後は両薬剤を軸とした新たな薬物療法の展開が期待できる。一方、カルボプラチンおよびオキサリプラチンは未承認であり使用できない。この二剤はそれぞれパクリタキセル+カルボプラチン+照射と、FOLFOX+照射という外来通院で実施可能かつ有用なレジメンが世界的に広く普及しているため残念である。
期待される新規薬剤としては頭頸部癌で承認されている抗EGFR抗体薬や経口PI3K阻害剤であるBKM120に対する食道癌に対する医師主導治験が実施されている(EPOC-1303)。更にメラノーマや腎細胞癌にて有望な結果のため非常に期待が高まっている免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1抗体の食道癌に対する治験が国内でスタートしており今後の展開が非常に期待されている。

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