演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

食道癌の化学放射線療法と陽子線治療の役割

演題番号 : OS14-5

[筆頭演者]
石川 仁:1 
[共同演者]
奥村 敏之:1、水本 斉志:1、大西 かよ子:1、菅原 香織:1、牧島 弘和:1、大野 豊然貴:1、森脇 俊和:2、兵頭 一之介:2、久倉 勝治:3、田村 孝史:3、寺島 秀人:3、大河内 信弘:3、橋本 孝之:4、櫻井 英幸:1

1:筑波大学附属病院放射線腫瘍科、2:筑波大学附属病院消化器内科、3:筑波大学附属病院消化器外科、4:北海道大学病院放射線科

 

欧米で行われた比較試験に基づき、進行食道癌に対する放射線治療では同時化学療法の併用によって治療成績の改善が図られてきた。事実、我が国での臨床試験の結果も従来の放射線単独での成績と比較すると同時化学放射線療法は良好な治療成績が得られている。一方で、最近、治療後の心臓や肺の晩期有害事象が報告されており、発生率を抑えるような治療法の開発が求められている。陽子線はX線に比較して線量集中性が良好であるため,照射される心臓や肺の容積を減ずることが可能であり,これらの有害事象を軽減することが期待される。筑波大学では1983年から陽子線治療を開始し、現在までに200例以上の食道癌に対する治療を施行してきた。そのなかで、現行の化学放射線療法を開始した2008年11月から2012年6月までの40例の治療成績を紹介する。男性38例,女性2例,年齢の中央値は68歳(52-79歳)で、腫瘍長径の中央値は5cm(2-12cm)であった。TNM分類(UICC 2009)ではT1/T2/T3/T4が16 /9/11/4例,N0/N1/N2/N3が19/11/7/3例で,臨床病期はStage I/II/IIIが16/9/15例であった。病理組織学的には1例を除き扁平上皮癌であった。照射範囲はN0症例では腫瘍の上下3-4cmの範囲の食道とその範囲内の縦隔リンパ節としたが,N(+)症例では主病巣の局在に応じた領域リンパ節も含めた。陽子線治療は通常分割照射で行い,総線量は原則として60Gy/30Frとしているが、50Gy時の内視鏡による評価で腫瘍の残存が明らかであった21例では4-10Gyの追加照射を施行した。化学療法はCDDP (70mg/m2,day1,29)と5-FU (700mg/m2,day1-4,29-32)を基本とした。全例で陽子線治療を予定通り完遂し、化学療法は39例(98%)で照射期間中に2コース投与可能であった。観察期間中央値は19か月(7-62か月)で,照射終了1-2か月後の初期効果判定では,CRが30例(75%),PRが8例(20%),SDは2例(5%)であった。これまでに15例で再発が認められ,その初回再発部位は局所のみが8例,局所+リンパ節が1例,リンパ節のみが3例,遠隔転移が3例で、2年原病生存率は76±15%であった。晩期有害事象は食道狭窄と食道潰瘍をそれぞれ1例に認めた。一方,心肺毒性に関しては無症候性の心嚢水(Grade 2)を3例に認めたが,Grade3以上は認めなかった。症例数の蓄積が必要であるが,食道癌に対する陽子線による同時化学放射線療法は心肺毒性の少ない有望な放射線治療法であることが示唆された。

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