演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

胸部食道癌に対する根治的CRT後salvage手術の治療成績と問題点

演題番号 : OS14-4

[筆頭演者]
宮田 博志:1 
[共同演者]
山崎 誠:1、宮崎 安弘:1、高橋 剛:1、黒川 幸典:1、中島 清一:1、瀧口 修司:1、森 正樹:1、土岐 祐一郎:1

1:大阪大学大学院消化器外科

 

【はじめに】化学放射線療法(CRT)は食道癌に対する有効な根治的治療の一つとして認識されるに至っているが、一方で再発や遺残症例も少なくなく治療成績向上のためには外科切除による救済治療が不可欠である。しかし根治照射後のsalvage手術では高いmorbidityとmortalityが問題とされている。今回、当科で施行したsalvage手術の成績をretrospectiveに解析し、その問題点について検討を行った。【対象】1991年~2012年に当科で胸部食道癌に対して根治的CRT後(50Gy以上)にsalvage手術を行った47例と術前CRT(50Gy未満)後に手術を行った146例を対象とし、(1)両群間での合併症・術式、(2)salvage手術における予後因子、について検討を行った。【結果】(1) salvage群では術前CRTと比べて肺炎、縫合不全が多い傾向がみられた (肺炎:29% vs 21%、縫合不全:32% vs 19%)。循環不全、出血は術前CRTと比べてsalvage群で有意に多かった(循環不全:13% vs 4%、出血:11% vs 1%)。また気管壊死は術前CRT群では認めなかったのに対してsalvage群では2例(4%)に認めた。在院死は術前CRT群4例(2.7%)に対しsalvage群4例(8.5%)でありsalvage群で多かった。術式では、3領域郭清は術前CRT群の56%に対してsalvage群で43%であり、salvage群で頸部郭清を控える傾向がみられた。再建経路では皮下経路再建が術前CRTの7%に対してsalvage群では28%であり、salvage群で皮下経路再建が多かった。(2)salvage手術全体の3生率/5生率は42.8%/38.6%であった。CRT前深達度(T1/T2/T3/T4)別での3生率は90%/51%/15%/25%であり、cT3-cT4症例は予後不良あった。またCRT前リンパ節転移の有無別の3生率はcN0: 72%に対してcN1: 25%でありCRT前にリンパ節転移を認める症例のsalvage手術の成績は不良であった。このほか単変量解析では、pT、R0手術が予後因子であった。【まとめ】salvage手術により根治が望める症例は存在するが、T3-4症例やN1症例に対するsalvage手術の成績は良好とはいえない。またsalvage手術は術前CRTに比べてリスクの高い手術であり、当科では、CRTの中間評価による根治的CRT症例の選別のほか、術式においては左右気管支動脈を温存する、頸部郭清では下甲状腺動脈を温存する、線維化の強い症例では気管分岐部の郭清を手控える、poor risk症例では皮下経路再建を行う、などの工夫を行っている。

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