演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

3領域リンパ節郭清を伴う開胸食道癌手術の低侵襲化の工夫

演題番号 : OS14-2

[筆頭演者]
阿久津 泰典:1 
[共同演者]
河野 世章:1、上里 昌也:1、村上 健太郎:1、羽成 直行:1、加野 将之:1、豊住 武司:1、水藤 広:1、高橋 理彦:1、松原 久裕:1

1:千葉大学大学院医学研究院先端応用外科

 

【はじめに】
食道癌手術は頸部,胸部,腹部の3領域にわたる操作が必要であり,消化器癌手術の中でも最も侵襲の大きなものの1つである.食道癌に対する低侵襲化食道切除術(Minimally invasive esophagectomy: MIE)というと胸腔鏡手術に目を奪われがちであるが,術創が小さいという利点はあるものの,切除,リンパ節郭清,再建に関する侵襲性は開胸手術とそれほど大きな違いはないと考えている.今回われわれが行っている3領域リンパ節郭清を伴う開胸食道癌手術(3-field open-esophagectomy:3FOE)における低侵襲化の工夫について周術期管理の工夫とともに供覧する.
【周術期管理】
3FOEは消化器外科領域の手術では術後合併症のリスクは高い.特に呼吸器合併症はCriticalな問題である.当科では(1)術前Immunonutritionの導入,(2)術前呼吸リハビリの導入,(3)術前後腔ケア,(4)Methylprednisoloneを用いたSIRS free managementを行っている.特に術前口腔ケアは容易かつ安価であり,当科の検討では術後肺炎のリスクをおよそ1/3に下げることができ,強く推奨したい.
【手術の低侵襲化の工夫】
3FOEの開胸法はいわゆる斜め胴切りによる開胸法が主流であったが,当科ではVertical muscle sparing thoracotomyによる開胸法により低侵襲化をはかっている.本法では皮切を右後腋窩線の縦切開とし,広背筋,前鋸筋,側胸部を走行する神経および血管はすべて温存する.当科では最初に頸部および腹部,体位変換後に開胸操作を行っているが,開胸時間を最短にするため,106recRの大部分と106recLの一部は頸部より郭清しておく.一方,112は腹部より経食道裂孔的に行っている(経食道裂孔郭清法).特に経食道裂孔郭清法では通常の右開胸のアプローチでは郭清が困難な大動脈の背側に位置するリンパ節も郭清が可能であり,郭清効果の向上および低侵襲化に有用である.
【これからの食道癌手術の低侵襲化の方向性について】
MIEの一つの方向性としては術式の改善・改良もさることながら,どのような症例でどこのリンパ節郭清の省略が可能かなど,1例1例に合わせた術式の縮小を考えたほうが現実的であるとも言える.現在JCOG0502の附随研究としてリンパ節転移に関する解析を進めており,今後の縮小手術の手がかりとなることが期待される.

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