演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

食道ESD後狭窄に対する治療戦略

演題番号 : OS14-1

[筆頭演者]
山口 直之:1 
[共同演者]
磯本 一:1,2、福田 浩子:2、南 ひとみ:2、大仁田 賢:2、宿輪 三郎:2、中尾 一彦:2、小林 慎一郎:3、金高 賢悟:3、江口 晋:3、金井 信雄:4、大木 岳:4、大和 雅之:4、岡野 光夫:4

1:長崎大学病院光学医療診療部、2:長崎大学病院消化器内科、3:長崎大学病院移植消化器外科、4:東京女子医科大学

 

【目的】食道ESDは広範囲病変の一括切除を可能にしたが、広範囲剥離例では術後狭窄が高頻度に起こり、狭窄対策が問題となる。そこで術後狭窄に対するステロイド(SH)投与の有用性、また、東京女子医科大学と共同で施行した世界初の移送(長崎-東京)による口腔粘膜上皮細胞シート移植症例5例の術後経過を含め報告する。
【対象・方法】
2013年11月までに3/4周以上の広範囲剥離症例に対してSH投与又は細胞シート移植を施行した116病変(経口群71例,トリアムシノロン(T)局注群40例,細胞シート群5例)を対象とし,術後狭窄に対するSH投与及び細胞シート移植の有用性を検討した。
【結果】
経口群・T局注群での比較では,狭窄率・拡張回数(中央値)は順に14.1%(10/71)・0回,17.5%(7/40)・0回であり,有意差を認めず,両群とも狭窄予防に有用であった。しかし,狭窄症例を経口群で10例,T局注群で7例,全体で17例に認めた。その17例全例が1.切除範囲:9/10周以上,2.切除長軸径:5cm以上,3.頚部食道,4.CRT治療歴の4因子のうち2因子以上を満たす症例であった。そこで経口群および局注群両群において,それぞれ2因子以上群と2因子未満群の比較検討をしたところ,両群とも2因子以上群が有意(p<0.01)に拡張回数・拡張期間が多かった。また,全周剥離例(22例)のみの検討では,経口群(19例)は狭窄率・拡張回数(平均値)が26.3%・1.4回であり,局注群(3例)の100%・9.7回に比べて有意(p<0.05)に狭窄率・拡張回数が少なかった。細胞シート群(5例)及び経口群の比較では,狭窄率・拡張回数(中央値)は順に40%(2/5)・0回、14.1%(10/71)・0回であり,有意差を認めず,潰瘍治癒期間(中央値)はシート移植群は29日で経口群の63日と比較し有意(p<0.001)に短かった。
【結論】
SH経口投与・局注療法いずれも,広範囲剥離症例に対して良好な狭窄予防効果が得られたが,全周剥離症例に対してはより経口投与が有用である。また,細胞シート移植は,SH投与に比べ,極めて短期間に潰瘍治癒が得られ,ESD後狭窄に有望な再生医療技術である。

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