演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

骨転移:腫瘍内科の視点から

演題番号 : OS12-1

[筆頭演者]
柴田 浩行:1 

1:秋田大学臨床腫瘍学講座

 

骨転移治療は、この10年間で大きく進歩した。進歩の大きな要因に骨修飾薬(Bone Modifying Agent, BMA)と内照射薬の登場があげられる。これらは薬物療法であり、適応される領域は広い。従来からの主流である整形外科的治療や外照射が比較的限定された適応である一方で、とくにBMA は殆どの骨転移に対して適応可能である。鎮痛剤の効果は疼痛緩和に指向されるが、BMAには疾患制御的なポテンシャルもある。BMAは、腫瘍医、とくに腫瘍内科医が単独で実施可能であり、従来、腫瘍内科医には不可能であった骨転移を指向した治療への積極的な参画を招くに至った。このようなBMAには既に10年以上の歴史のあるビスフォスフォネート製剤と本邦での承認後2年程度のデノスマブが含まれる。しかし、このようなBMAという薬剤を使用するに際しては実際にどのようなアウトカムが期待できるのかという点について十分に知る必要がある。多くの報告は骨関連事象(skeletal related event, SRE)の発生を延長させるというエビデンスである。投与の目安はSREであり、今のところ抗腫瘍効果ではない。また、これらの薬剤に特有な有害事象についても留意しなくてはいけない。低カルシウム血症や低リン血症、顎骨壊死などは従来の抗腫瘍性薬剤にはほとんど認められないものであり、これらへの監視が必要となる。さらに2種類のBMAをどのように使いわけるべきかという臨床的疑問が生じている。両剤には臨床上問題となる優劣関係が存在するのか?という疑問も存在する。確かに統計学的に差がつくようなエビデンスが存在したとしても、それらは患者の嗜好や利便性の視点や医療経済からの検証も為されなくてはならない。BMAには従来からの治療法との併用、導入のタイミングなど、エビデンスが決して十分とは言えない領域も多い。さらに骨転移治療においては腫瘍内科医が直接関与しないモダリティーの進歩もあり、治療遂行にあたっては、これらの治療提供者との協議も必要となってくる。一般に骨転移を有する進行がん患者は腫瘍内科医が主治医となることが多いが、看護やリハビリも含めた様々な治療的介入が必要であり、その治療方針の決定には多職種が関わるチーム医療が不可欠である。チーム内のコミュニケーション、そして骨転移治療全般に対する共通理解が必要であり、これらを目的とした日本臨床腫瘍学会の「骨転移診療ガイドライン」についても言及できればと考えている。

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