演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

子宮体部類内膜腺癌におけるRap1GAPの発現の意義と臨床予後との関連

演題番号 : O60-3

[筆頭演者]
玉手 雅人:1 
[共同演者]
田中 綾一:1、幅田 周太朗:1、恐神 博行:1、杉尾 明香:1、松浦 基樹:1、鈴木 美和:1、岩﨑 雅宏:1、鈴木 孝浩:2、齋藤 豪:1

1:札幌医科大学産婦人科学講座、2:時計台記念病院女性総合診療センター

 

【目的】
上皮間葉移行による癌の浸潤・接着能のメカニズムは様々な検討がなされ、その中でRap1GAPが重要な役割を担っていることが報告されている。Rap1は低分子G蛋白質のRas superfamilyの一つであり、活性化因子であるC3Gなどに活性化され、Rap1GAPにより制御される。
今回、子宮体部類内膜腺癌細胞におけるRap1・Rap1GAPの発現とノックダウン細胞の浸潤・運動能の変化を調べ、臨床検体を用いた免疫組織学的染色やその他の予後因子がどのように関連しているのかを検討した。
【方法】
分化度の異なる子宮体部類内膜腺癌細胞株と臨床検体のRap1GAPの発現差をWestern blotting(以下、WB)、Real-time Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、Real-time RT-PCR)にて検討した。またRap1、Rap1GAPのノックダウン細胞を用いて浸潤・運動能の変化を比較した。
さらに子宮体部類内膜腺癌の臨床検体116例にRap1GAPの免疫染色を施し、発現差と予後を統計学的に検討した。Rap1GAP発現は3つにスコア化し、その他の予後因子とともに多変量解析を用いて予後因子となりうるか検討した。
【成績】
免疫組織染色では、分化度の高い症例ほどRap1GAPの発現が強陽性となる傾向を認めた。WBやReal-time RT-PCRでは、高分化型腺癌の細胞株であるIshikawa、中分化型腺癌のHEC-1A、低分化型腺癌のHEC-108の順にRap1GAPが強く発現し、免疫染色の結果と一致した。ノックダウンした細胞株では、腫瘍細胞の運動・浸潤能が亢進した。臨床症例における多変量解析の結果、進行期・腫瘍径などが独立予後因子として抽出されたが、Rap1GAP陰性は予後因子とはならなかった(P=0.061)。しかしカプランマイヤー曲線においてRap1GAP陰性群は陽性・弱陽性群と比較して有意に予後の低下を認めた(P=0.031)。さらに進行症例ほどRap1GAP陰性例が多い傾向となった。
【考察と結論】
今回、細胞レベルで子宮体癌の分化度とRap1GAPの発現の間に相関関係が示唆され、Rap1a、Rap1GAPが腫瘍細胞の運動・浸潤能に関して重要な調節因子となり得ることが示された。さらに臨床症例においてもRap1GAPの発現消失が予後不良因子となりうることが初めて示された。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:バイオマーカー

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