演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

KRAS変異型大腸癌に対する新規microRNA核酸治療

演題番号 : O53-5

[筆頭演者]
平木 将之:1 
[共同演者]
西村 潤一:1、呉 しん:1、高橋 佑典:1、高橋 秀和:1、植村 守:1、畑 泰司:1、武元 浩新:4、竹政 伊知朗:1、池永 雅一:3、水島 恒和:1、山本 浩文:1、村田 幸平:2、土岐 祐一郎:1、森 正樹:1

1:大阪大学大学院消化器外科、2:市立吹田市民病院外科、3:独立行政法人労働者健康福祉機構大阪労災病院外科、4:独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター外科

 

【はじめに】KRAS野生型大腸癌には抗EGFR抗体が奏効するが,約半数に認める変異型はその恩恵を受けることができない。これはKRAS変異によりRas/Raf/MAPKやMEKK/SEK/JNK pathwayが恒常的に活性化する結果、上流で制御しても増殖・浸潤を続けるためである。このシグナル伝達を内側から阻害すべくKRAS変異により変化するmicroRNAを同定し新規核酸治療への開発を目的とした。
【方法】ヒト胎児腎細胞HEK293とヒト胎児肺細胞MRC5に,KRASG12V変異遺伝子を導入しmiRの発現変化をmiR arrayで解析した。上記二つのpathwayの下流で働く転写因子Elk-1/SRFおよびAP-1が結合するSRE,AP1を含むreporter plasmid を作成しluciferase assayでKRAS下流シグナルを抑制するmiRを検索した。
【結果】Arrayの結果,KRAS変異導入により両細胞で発現が低下し,target scanでRAS下流分子を標的とし,KRAS変異型HEK293でSRE/AP1 luciferase activityを抑制する、これまでに報告例のないmiR-Xを同定した。実際、miR-Xは、KRAS変異型の臨床検体で有意に低発現であることを確認した。SW480G12V, DLD1G13D, HCT116G13DのSRE/AP1 luciferase activityを抑制し、さらに抗腫瘍効果も認めた。当教室では臨床応用に向け,静注で効率よくmiRNAを腫瘍に到達させるsuper carbonate apatite nonoparticleの開発を進めており、このmiR-Xによるマウスin vivo静注でKRAS変異大腸癌に対して強い抗腫瘍効果も認めた。その機序としては、KRAS 3´UTRとAkt1 CDSに直接結合することで、mRNA/タンパクレベルで、KRASとAkt1の発現を低下させ、Ras/Raf/MAPK pathwayとPI3K/Akt pathwayを同時に抑制した。また、アポトーシス促進分子群(Bad, Bax, Bak) の活性化と抑制分子群(Bcl2, BclXL)の不活化が確認されapoptosisを誘導した。
【結語】KRAS変異型大腸癌に奏効するmiRを同定した。miR-Xは、KRASとAkt1に対する多分子制御を通じて抗腫瘍効果を発揮し既知のMEK inhibitorよりも有効となる可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:分子標的治療

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