演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

大腸癌におけるCetuximabの抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性と細胞表面EGF-R発現の関連

演題番号 : O53-4

[筆頭演者]
石井 良幸:1 
[共同演者]
瀬尾 雄樹:2、鶴田 雅士:3、岡林 剛史:3、長谷川 博俊:3、大作 昌義:1、浅沼 史樹:1、渡邊 昌彦:4、北川 雄光:3

1:北里大学北里研究所病院外科、2:日本赤十字社足利赤十字病院外科、3:慶應義塾大学医学部一般・消化器外科、4:北里大学医学部外科

 

背景:大腸癌に対する抗EGF-R抗体薬であるCetuximabの作用機序の1つとして、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が論じられているが、このADCC活性とEGF-R発現量やシグナル伝達系の遺伝子異常との関連については未だ明らかでない。
目的:大腸癌におけるCetuximabのADCC活性と細胞表面EGF-R発現およびシグナル伝達系遺伝子異常(K-RAS/B-RAF)との関連について明らかにすることを目的とした。
方法:はじめに、各種ヒト大腸癌細胞株(HT29, HCT8, HCT116, DLD-1, SW480)を用いて、CetuximabのADCC活性と細胞表面EGF-R発現、K-RAS/B-RAF遺伝子異常との関連について解析した。さらに、大腸癌患者の手術検体(13症例)より腫瘍細胞を抽出し同様の検討を行った。細胞表面EGF-R発現は、大腸癌細胞株ではフローサイトメトリー法、臨床検体では免疫組織染色法により評価し、K-RAS/B-RAF遺伝子異常はダイレクト・シーケンス法で解析した。ADCC活性はLDH放出アッセイを用いて測定したが、エフェクター細胞として大腸癌細胞株では健常者由来の末梢血単核球、臨床検体では同一患者の末梢血単核球を用いて測定した。エフェクター細胞:ターゲット細胞(E:T)比は20 : 1と10 : 1に、また暴露するCetuximabの濃度は0μg/ml、10μg/ml、100μg/mlに設定した。
結果:大腸癌細胞株における細胞表面EGF-Rは、HCT8、DLD-1、SW480で高発現であり、HT29、HCT116では低発現であった。全ての細胞株においてCetuximabの濃度が100μg/ml、E:T比=20:1のときADCC活性は最大値を示し、ADCC活性と細胞表面EGF-R発現との間には有意な強い相関関係を認めた(R=0.949、P=0.003)。さらに、臨床検体のうち細胞表面EGF-R発現が高い症例では低い症例に比較し有意にADCC活性は高かった(P=0.027)。また、大腸癌細胞株および臨床検体の両方において、ADCC活性は細胞表面EGF-R発現と有意に関連したが(標準化偏回帰係数:0.911 [P=0.017]、0.660 [P=0.018])、K-RAS/B-RAF遺伝子異常とは関連を認めなかった(標準化偏回帰係数:-0.101 [P=0.631]、0.160 [P=0.510])。
結語:大腸癌におけるCetuximabのADCC活性は、K-RAS/B-RAF遺伝子異常に関係なく細胞表面EGF-R発現と相関する可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:分子標的治療

前へ戻る