演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

世界最小10nm nanocarrier systemの臨床応用への期待

演題番号 : O53-1

[筆頭演者]
呉 鑫:1 
[共同演者]
山本 浩文:1、中西 弘幸:2、山本 有紀:2、井上 彬:1、浜部 敦史:1、高橋 秀和:1、植村 守:1、畑 泰司:1、西村 潤一:1、竹政 伊知朗:1、水島 恒和:1、土岐 祐一郎:1、森 正樹:1

1:大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学講座、2:医療法人医潤会 内視鏡クリニック

 

(背景と目的)核酸医薬の領域では、比較的デリバリーされやすい肝, 腎臓, 眼については医薬開発が進んでいるが、固形腫瘍の治療には多くの障壁があり臨床応用が遅れている。我々はこの問題を解決すべく超微細ナノ粒であるスーパーアパタイト(sCA)法を開発した。その特徴は①歯科材料でも使われているリン酸、炭酸、カルシウムの組成からなり人体にやさしい。②血中ではpH7.4で安定、細胞内ではpHの低下により速やかに崩壊する。③腫瘍組織に到達したカルシウムが細胞-細胞外マトリックスの接着を破壊し腫瘍間質液圧が低下するため核酸が腫瘍へ到達しやすい④世界最小の10nmサイズであり腫瘍深部まで浸透する。⑤その結果非常に短時間(静注後90分)でマウス皮下腫瘍の細胞内に核酸が充満し、核酸がlysosomeで破壊される前に効果を発揮する。⑥製造が簡単で安価なため臨床応用しやすい。今回我々は2種類のvivo用核酸デリバリーシステムと比較してsCAの治療的優位性について検討し、更にマウス及び非ヒト霊長類モデルを用いた毒性試験を行い臨床応用への可能性を探った。
(方法と結果)(1)sCA, Invivofectamine 2.0(リポソーム製剤)及びAteloGene(アテロコラーゲン)に蛍光標識したsiRNAを内包させ、2種の大腸癌および頭頸部腫瘍モデルを作成し経静脈的に投与したところ1.5~4時間後にsCAでは他に比べて約4倍高い腫瘍集積性を実現した。最新の高精度ライトシート顕微鏡を用いた評価では、sCAのみで、あたかもin vitroのように腫瘍細胞内に核酸が充満している像が多数観察された。(2)正常組織への分布を評価したところ、肝臓ではsCAの集積は1/3~1/5に低下、肺、腎、脾臓でもsCAの集積を認めなかった。(3)大腸癌固形腫瘍モデルにおいて、通常の10分の1の量のsurvivin標的siRNAを3種のシステムによって経静脈的に投与したところ、sCAのみが強い抗腫瘍効果を示し、survivinの免疫染色でも標的タンパクの発現抑制が確認された。(4)マウスモデルを使った高容量(5倍および10倍量)のsCAの反復静脈投与、及びカニクイザルモデルを用いたsCAの四日連続静脈投与においでも、組織学的及び血液生化学的な異常を認めなかった。
(考察)医薬品としての核酸がintactなまま生体内で効果を発揮するためには'壊される前に効かせる'ことが重要である。その点sCAを用いた核酸治療は短時間で腫瘍細胞内に到達して効果を発揮し、安全性も高く今後の臨床応用が期待される。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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