演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

日本人上部尿路上皮癌患者において特殊型組織成分が疾患悪性度および予後に及ぼす影響

演題番号 : O49-5

[筆頭演者]
坂野 滋:1,2 
[共同演者]
上領 頼啓:3、林田 重昭:4、山本 憲男:5、金田 芳孝:6、那須 誉人:4、馬場 良和:7、島袋 智之:8、須賀 昭信:9、山本 光孝:10、青木 明彦:11、高井 公雄:12、吉弘 悟:13、大場 一生:14、松山 豪泰:2

1:財団法人平成紫川会社会保険小倉記念病院泌尿器科、2:山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野、3:下関市立済生会豊浦病院泌尿器科、4:社会保険徳山中央病院泌尿器科、5:徳山医師会病院泌尿器科、6:厚南セントヒル病院泌尿器科、7:周東総合病院泌尿器科、8:宇部興産中央病院泌尿器科、9:日本赤十字社綜合病院山口赤十字病院泌尿器科、10:山口県立総合医療センター泌尿器科、11:日本赤十字社益田赤十字病院泌尿器科、12:社会福祉法人済生会下関総合病院泌尿器科、13:下関市立中央病院泌尿器科、14:済生会山口総合病院泌尿器科

 

【目的】上部尿路上皮癌は根治手術が施行されても術後,一定数の患者で再発・転移が認められ,その予後は良好とは言えない.膀胱尿路上皮癌においては,病理組織学的検討での特殊型組織成分の存在が,より進行した疾患であることや,不良な予後と関連するといういくつかの報告がある.上部尿路上皮癌においては,特殊型組織成分に関するまとまった症例数の報告は非常に少なく,日本人患者について検討した報告はこれまでない.今回われわれは,日本人上部尿路上皮癌患者において,特殊型組織成分の存在が疾患悪性度,および腎尿管全摘術後の予後に及ぼす影響について検討した.これにより,術後補助療法が推奨される患者選択をすることができれば大変意義深いと考えられた.
【方法】1995年から2009年の間に,山口県内および近隣の21施設において,遠隔転移のない上部尿路上皮癌に対し,術前療法なしに腎尿管全摘術が施行され,3ヶ月以上follow-upされた502症例を対象とした.各施設にて診療録より後ろ向きに患者の臨床・病理組織学的データを収集し,腎尿管全摘標本における特殊型組織成分の存在と,各種臨床・病理組織学的因子,および疾患特異的生存率との関係について解析した.
【結果】全症例の観察期間の中央値は41.4ヶ月で,全502例中102例(20.3%)が観察期間中に癌死した.502例中442例(88.0%)は純粋な尿路上皮癌で,60例(12.0%)に特殊型組織成分(扁平上皮分化,腺上皮分化,その他,多発)の含有が認められた.特殊型組織成分の存在と,組織学的深達度(pT≧3),組織学的異型度(G3),および脈管侵襲(LVI1)との間には有意な相関が認められた(P<0.0001).全症例の単変量解析では,特殊型組織成分は,腎尿管全摘術後の不良な疾患特異的生存率と有意に関連していたが(P=0.0004),多変量解析では,この関連は認められなかった.しかしながら,≧pT3症例によるサブグループ解析では,特殊型組織成分の存在は独立した予後予測因子として認められた(P=0.0095).
【結論】日本人上部尿路上皮癌患者において特殊型組織成分の存在は,疾患悪性度の高さと関連すると考えられた.≧pT3症例において特殊型組織成分は,腎尿管全摘術後に補助療法が推奨される患者選択に有用な因子となり得る可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:臨床試験

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