演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

5-アミノレブリン酸による光力学的診断を用いた審査腹検査の経験から見えてきた課題

演題番号 : O44-1

[筆頭演者]
原 尚志:1 
[共同演者]
高橋 剛:1、宮崎 安弘:1、黒川 幸典:1、山崎 誠:1、宮田 博志:1、中島 清一:1、瀧口 修司:1、森 正樹:1、土岐 祐一郎:1

1:大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学

 

【はじめに】5-アミノレブリン酸(5-ALA)はヘムの生合成の際に使用される、元来生体内に存在する物質である。その過剰投与により、がん細胞の正常細胞との代謝活性の違いにより代謝産物であるプロトポルフィリンⅨの蓄積が報告されている。プロトポルフィリンⅨは、光感受性物質であり、青色レーザー光の照射により赤色に蛍光発色する特徴を有する。本性質を利用した光力学的診断の有用性が、脳外科泌尿器科領域を中心に報告され、実臨床に用いられるようになってきた。当教室では、進行胃癌に対する審査腹腔鏡検査時に、通常検査では検出不能であった腹膜播種の微小病変の検出を目的に、5-ALAを用いた光力学的検査(ALA-PDD)の臨床試験を開始した。今回、本試験で経験したALA-PDDの有用性ならびにその課題について検討を行った。【対象と方法】術前CT画像上腹膜播種が疑われる進行胃癌患者7症例を、対象とした。以下の手順で、ALA-PDDを施行した。(1)検査開始の180-240分前に1gの5-ALA溶液を内服。(2)審査腹腔鏡検査開始後、左横隔膜下、右横隔膜下、右側腹部、ダグラス窩、左側腹部の各部位について、それぞれ20秒間の通常光観察の後に20秒間のALA-PDDを施行。 (3)腹膜播種を疑う病変については、生検を行い病理診断での最終診断を施行。検出力の上乗せ効果、安全性について検討を行った。さらに各症例について、発見された課題について検討を行った。【結果】患者の性別は男:女=5:2(人)、年齢の中央値が66歳(範囲:39-72)で術前化学療法の有無は5:2(人)であった。術前の進行度はT 3:4=1:6、cN0:1:2:3=2:0:2:3であった。本対象において、通常光観察で4例さらにALA-PDDを用いて1例の上乗せ効果を認めた。重篤な有害事象は認めなかった。また、腹膜播種を有する症例においては、化学療法後の生存細胞を有する箇所に特異的に発色を認め質的評価を可能とする可能性も示唆された。漿膜浸潤を有する原発病巣について、まだらな発色を認め、深達度との詳細な検討が必要と考えられた。【まとめ】進行胃癌の審査腹腔鏡検査時の、5-ALAを用いた光力学的診断の臨床試験を開始した。上乗せ効果を認める可能性が示唆された。各症例の検討において、新たな課題が発見され引き続き検討を行っている。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:診断

前へ戻る