演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

8q24多型と糖尿病罹患の網羅的解析による大腸発癌における遺伝環境相互関係の解析

演題番号 : O4-5

[筆頭演者]
杉町 圭史:1 
[共同演者]
山口 類:2、江口 英利:1、新井田 厚司:2、新田 吉陽:1、井口 友宏:4、山本 健:3、調 憲:4、宮野 悟:2、森 正樹:5、前原 喜彦:4、三森 功士:1

1:九州大学病院別府病院外科、2:東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター、3:九州大学生体防御医学研究所ゲノム機能制御学部門、4:九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科、5:大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学

 

【背景】大腸癌は遺伝的背景と生活環境因子の単独あるいは交互作用に起因する。我々は、前者として8q24(rs6983267)遺伝子多型を確認しリスクアリル(G)の集団では癌遺伝子MYCが転写され (Sugimachi K., Ann Surg Oncol 2014)、後者として8q24ノンリスクアリル(T)の集団で糖尿病(DM)が発癌の危険因子であることを報告した(Ishimaru S., Ann Surg Oncol 2012)。今回の研究は、この交互作用を説明するためにDMが大腸発癌に関与する分子機構を明らかにすることを目的とした。
【方法】(1) 多施設共同研究による大腸癌146例よりLMDを用いて原発巣癌細胞のみを特異的に採取した。SNPアレイにより8q24 rs6983267多型、array CGHによりMYC遺伝子コピー数、マイクロアレイ(41k)により遺伝子発現を解析し、DMとの相関を検討した。(2) 次に遺伝的背景を除くためにrs6983267 ノンリスクアリル(G)の集団のみでDMの有無によって発現差がある遺伝子を抽出した。Meta Gene Profiler (MetaGP)の手法を用いてDMの有無によって影響される遺伝子セットを同定した。
【結果】(1) 8q24多型と有意に相関する遺伝子群の中から、MYCを転写因子としており、実際の発現レベルがMYCと有意に相関し(R2=0.27, p<0.0001)、さらにDMの有無により有意に発現差がある遺伝子として、METと Apolipoprotein A4 (APOA4)遺伝子を同定した。(2)MetaGPにおいて大腸発癌において DM罹患と有意に相関するpathwayとしてPPAR-γとcollagen familyが新たに同定された。
【考察】MET発現低下による高血糖からの防御機構の破綻や、APOA4発現上昇による高脂血症・高血糖誘因が大腸局所における発癌に関与している可能性がある。またDMに関係する新たな遺伝子pathwayを同定することができたため、今後さらにDMと発癌の分子機構を明らかにすることができると考えられる。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:ゲノム・遺伝子

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