演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

膵癌切除後血清CA19-9値正常化後生存は有用な代理指標である

演題番号 : O32-6

[筆頭演者]
元井 冬彦:1 
[共同演者]
岡田 良:1、水間 正道:1、森川 孝則:1、林 洋毅:1、中川 圭:1,2、吉田 寛:1、片寄 友:1,2、江川 新一:1,3、海野 倫明:1,2,4

1:東北大学病院肝胆膵外科、2:東北大学大学院医学系研究科統合がん治療外科、3:東北大学災害科学国際研究所、4:東北大学大学院医学系研究科消化器外科

 

背景:我々は、膵癌切除後に血清CA19-9値などの腫瘍マーカーが正常化しない例の生存期間が有意に短いことを報告してきた(Motoi F et al. Ann Surg Oncol 2011)。一方、正常化後の腫瘍マーカーの推移や予後との関連に関しては報告が少ない。
目的:膵癌切除術後血清CA19-9値正常化後の生存期間(CA19-9 free survival,以下CFS)を求め、その臨床的意義を検討する。
対象:2001~2012年に当科で膵切除を行い、病理学的に浸潤性膵管癌であることが確診された287例。そのうち、治療前に血清CA19-9値が上昇し(208例)、切除後に正常化が確認された109例のうち、その後の血清CA19-9値の推移が追跡可能であった86例を対象とした。
方法:切除後に血清CA19-9値が正常化した測定日を起点日とし、再上昇により正常上限値(37 U/ml)を超えた測定日までの日数をCFSとして算出した。1) CFSと無再発・全生存期間(RFS, OS)の関係を検討。2)CFS の中央値218日を基準に、短期(S群:CFS 7ヶ月未満, n=42)と長期(L群:CFS 7ヶ月以上, n=46)で生存期間・関連因子(年齢・性・主座・UICC病期・NCCN切除可能性・治療前CA19-9値・PET SUVmax値)を比較した。生存比較は、Kaplan-Meier法で推定しLog-tank検定で有意差を求めた。
結果:CFS中央値(範囲)は218(12-2773)日、RFS、OSの中央値(範囲)は436(48-3801)日、820(78-3824)日であった。CFSはRFS,OSに有意な正の相関関係(R=0.83, 0.73,いずれもP<0.001)を認めた。直線近似でRFS=1.18×CFS+161、OS=1.15×453であった。
CFSを7ヶ月未満(S)群と7ヶ月以上(L)群で比較すると、OSでは514日vs1466日(P<0.0001), RFSでは263日vs841日(P<0.0001)ともにS群で有意に不良であった。年齢・性・主座・UICC病期・NCCN切除可能性・治療前CA19-9値の各因子では、S,L両群に差がなかったが、S群ではSUVmax値が有意に高かった(中央値: 4.6 vs 3.9, p=0.012)。
考察:膵癌切除後CA19-9値正常化例では、CFSはRFS, OSに良く相関する。RFSより早期に予後を予知可能で、前向き臨床試験においてもOSの代理指標としての有用な可能性がある。膵癌切除後CA19-9値正常化例においてCFSを生存予測に用いた場合、術前の進行度の影響は少なく、PET SUVmax値の影響が強いと考えられる。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:バイオマーカー

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