演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

膵癌におけるhENT-1発現と予後との関連-IHCとmRNA発現による検討の比較-

演題番号 : O32-2

[筆頭演者]
柴田 伸弘:1 
[共同演者]
頼田 顕辞:2、角 将一:3、大内田 次郎:1、旭吉 雅秀:1、今村 直哉:1、安藤 稔:3、畑 千恵:3、片岡 寛章:2、近藤 千博:1

1:宮崎大学医学部腫瘍機能制御外科、2:宮崎大学医学部病理学講座 腫瘍・再生病態学分野、3:株式会社ヤクルト本社中央研究所安全性研究部

 

【背景】膵癌組織におけるhENT-1 (Human Equilibrative Nucleoside Transporter 1)の発現により,Gemcitabine(以下GEM)による治療が効果的なpopulationの存在が示唆されている.
【方法】2002年6月から2011年8月の期間に当施設でR0,R1の膵切除術を施行された膵癌患者のうち,GEM-Baseの術後薬物療法を施行され,かつパラフィン包埋された腫瘍組織が入手可能であった41例を解析対象とした.hENT-1に対するポリクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色(IHC)を行い,独立した2名の評価者が腫瘍組織のhENT1陽性率を判定した.hENT1陽性率>20%をHigh-hENT1群,hENT1陽性率≦20%をLow-hENT1群とし,無病生存期間(DFS),全生存期間(OS)についてRetrospectiveに検討を行った.統計学的解析はカイ二乗検定あるいはFisherの正確確率検定を,多変量解析はCox比例ハザードモデルを用いて行った.生存曲線はKaplan-Meier法を用い,log-rank testでp<0.05を有意とした.41例中33例で腫瘍の凍結切片が入手可能で,mRNAを抽出しPCRでhENT1-mRNAの発現も定量し同様の検討を行った.
【結果】追跡調査期間中央値30.2ヶ月時点のOSの中央値はLow-hENT1群(N=12)で23.7ヶ月,High-hENT1群(N=29)は中央値に達せず(p=0.0161),DFSの中央値はLow-hENT1群で10.2ヶ月,High-hENT1群で25.0ヶ月であり(p=0.0053),いずれもHigh-hENT1群で有意に良好であった.これら二群間の臨床病理学的背景因子には統計学的な差を認めなかった.DFS, OSに関連する因子について多変量解析を行ったところ,いずれもhENT1陽性率が独立因子として抽出された.mRNA発現レベルによる検討でも,DFSの中央値はLow-hENT1群(N=18)で23.3ヶ月,High-hENT1群(N=15)で67.3ヶ月(p=0.0324)と有意差を認めたが,OSの中央値はLow-hENT1群で33.8ヶ月,High-hENT1群は中央値に達せず(p=0.1130),IHCと同様の傾向であったが,統計学的有意差を認めなかった.
【まとめ】膵癌術後薬物療法施行例の検討では,腫瘍組織におけるhENT1の高発現群(IHC)においてOS, DFSの有意な延長を認めた.mRNA発現による検討でも同様の傾向が見られたが,OSでは有意差を認めなかった.
【結論】IHCによる検討でhENT1高発現である膵癌症例においてはGEMにより良好な予後が期待できる可能性が示唆された.GEMの有効性が期待できる症例においては,標準的術後薬物療法であるS-1と効果を比較する前向きな検討を行うべきであると考えられた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:バイオマーカー

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