演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

術前腎機能が膵頭十二指腸切除術後合併症発生に及ぼす影響

演題番号 : O31-7

[筆頭演者]
長井 美奈子:1 
[共同演者]
庄 雅之:1、赤堀 宇広:1、木下 正一:1、山田 高嗣:1、山戸 一郎:1、北東 大督:1、安田 里司:1、川口 千尋:1、尾原 伸作:1、金廣 裕道:1、中島 祥介:1

1:奈良県立医科大学附属病院消化器・総合外科

 

【目的】膵頭十二指腸切除術(PD)は高侵襲手術であり,術後合併症は時に重篤化することがある.今回,術前腎機能と術後合併症との関連について retrospectiveに検討した.【方法】2007年1月から2013年7月までにPDを施行した256例(平均67.2歳,男性152人,女性104人)を対象とした.原疾患は膵癌/他の悪性疾患/良性疾患が各々118(46%)/91(36%)/47(18%)例.術式はPD/PD門脈合併切除/PD多臓器合併切除/PD門脈・多臓器合併切除が各々162(63%)/ 78(30%)/10(3%)/6(2%)例.腎機能評価には推算糸球体濾過量(eGFR)を用い,PD術後合併症に対する感度・特異度を求めるためにROC曲線を作成しcut-off値55を算出した.eGFR55(mL/min/1.73m2)未満を腎機能低下群,55 以上を対照群とした.2群間において,術後合併症の発生率,重症度等について比較検討した.【成績】術前eGFR55未満症例は37症例(14%)であった.手術時間(腎機能低下群337分vs.対照群331分)や出血量(713mlvs.627ml)においては2群間に差はなかった.しかし術後在院日数は腎機能低下群では対照群に比して有意に長かった(29日vs. 22日,P=0.036).術後合併症は185例(72%)にみられ,主な内訳は膵液漏(PF):32%,腹腔内膿瘍:10%,DGE:11 %, SSI:11%,であった.Clavien-Dindo分類(C/D)ではⅠ:41(16%)/Ⅱ:59(23%)/Ⅲa:73(29%)/Ⅲb5(2%)/Ⅳa:2(0.7%)/Ⅳb:1(0.4%)/Ⅴ:4(1.5%)であり,GradeⅢa以上は85例(33%)にみられた.合併症の発症率は腎機能低下群では対照群に比して有意に多くみられ(92% vs. 69%,P=0.004),PF(B/C)においても腎機能低下群で有意に多く認めた(38% vs. 14%P=0.0005).さらに重症度においてもC/D GradeⅢa以上の症例は,対照群に比して有意に多くみられた(59% vs. 29% , P=0.0002),PFを除く合併症の検討においても腎機能低下群でC/D GradeⅢa以上の症例を有意に多く認めた(41% vs. 16%,P=0.0005).また腹腔内膿瘍は26例(10%)に発症し,腎機能低下群で対照群に比して有意に多く発症した(19%vs.9%,P=0.028).【結論】術前腎機能低下はPD後合併症発生における重要なリスク因子の一つであると考えられた.術前腎機能低下症例では慎重な術後管理が肝要と思われた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:臨床試験

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