演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

腹腔内遊離細胞の上皮間葉転換関連遺伝子発現解析による膵癌腹膜播種再発予測

演題番号 : O31-6

[筆頭演者]
森 隆太郎:1 
[共同演者]
廣島 幸彦:1、松山 隆生:1、谷口 浩一:1、佐藤 圭:1、熊本 宜文:1、野尻 和典:1、武田 和永:1、遠藤 格:1

1:横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科学

 

【背景】膵癌に対する腹腔洗浄細胞診の予後予測因子としての意義は明らかでなく、陽性症例に対する根治切除の意義も不明である。我々は、洗浄腹水中遊離細胞のMUC1高発現が腹膜播種再発と関連することを報告してきた。今回、さらに上皮間葉転換(EMT)関連遺伝子発現の腹膜播種再発予測の意義について検討する。【対象・方法】2011年9月以降教室で切除し術中腹腔洗浄細胞診を施行した通常型膵癌38例を対象とした。審査腹腔鏡手術では、両側横隔膜下、骨盤底を生理食塩水100mlで洗浄し、各部位から50mlずつ回収後、25mlを細胞診に使用し、残り25mlで定量的RT-PCRを施行した。開腹症例では、開腹時に腹腔内を洗浄し骨盤底から洗浄液を回収した。遺伝子発現解析にはMUC1と、Snail1、Snail2、CDH1、MMP2、ZEB2のEMT関連5遺伝子を選択した。①MUC1とEMT関連各遺伝子発現の相関をみた。②膵癌症例を腹膜播種再発群(P群)と非腹膜播種再発群(N群)にわけ、各遺伝子発現を比較検討し、特にEMT関連遺伝子発現の意義を検討した。【結果】①MUC1とEMT関連各遺伝子発現レベルの関係は、MUC1とCDH1との間で相関を認めた(r=0.920, p<0.001)。他に有意な相関は認めなかった。②腹膜播種再発は13例(34%)に認め、各遺伝子発現はMUC1(P vs N:0.30±0.39 vs 0.04±0.94 p<0.001)がP群で有意に高発現であったが、他のEMT関連遺伝子では両群間で有意差を認めなかった。MUC1についてROC曲線を作成しcutoff値を0.032に設定すると、感度92.3%、特異度56.0%で、播種再発12例を検出可能であったが、特異度が低かった。しかし、EMT関連遺伝子の中央値をcutoff値すると、偽陽性となる11例中9例がCDH1高発現となっていた。すなわちMUC1強陽性(>0.16, n=7)では感度・特異度とも100%で、MUC1弱陽性かつCDH1陰性という条件では、MUC1低発現でも播種結節となりうる間葉系細胞をより高率に感知することができ、感度80.0%、特異度81.0%と高くなった。【結語】洗浄腹水中腹腔内遊離細胞のMUC1高発現は腹膜播種再発予測に有用であるが特異度が低い。CDH1発現と組み合わせることにより精度の高い予測の可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:トランスレーショナルリサーチ

前へ戻る