演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

EGFR-TKI加療後に肺切除を施行した進行肺癌3例の検討

演題番号 : O29-3

[筆頭演者]
山浦 匠:1 
[共同演者]
武藤 哲史:1、岡部 直行:1、松村 勇輝:1、星野 実加:1、大杉 純:1、鈴木 弘行:1

1:福島県立医科大学呼吸器外科

 

近年, 術前化学療法としてのEGFR-TKIの有効性を支持する報告例が散見される.今回我々は,EGFR-TKI投与後にダウンステージを得られ肺切除術を施行した3例について文献的考察を加えて報告する.【対象】症例は男性1例, 女性2例.平均年齢は67.7歳であった. 全例EGFR遺伝子変異(3例ともにexon21 L858R)を認め,初診時臨床病期は stageⅢA が2例,stageⅣが1例であり,いずれもEGFR-TKI内服加療後にstageⅠへダウンステージし肺葉切除と縦隔リンパ節郭清を施行した. 術前のEGFR-TKI平均内服期間は5.3ヶ月であった.【結果】平均手術時間は181分, 平均出血量は78.3mlであり,2013年に当科で施行した肺葉切除術の平均手術時間158分, 平均出血量69.3mlと比較し手術の難易度は通常よりは高まると考えられた.2例では合併症無く術後第6病日で退院し,1例は遷延性気漏と術後創部感染のため術後第30病日で退院した.術後病理病期は3例とも主病変と縦隔リンパ節に腫瘍細胞が残存しstageⅢAであった.原発巣と転移陽性リンパ節のEGFR遺伝子変異をそれぞれ解析したところ,1例では全ての病巣でL858Rに加えT790Mが発現していたが,残る2例ではT790M発現が有る病巣と無い病巣が混在していた.術後2例でEGFR-TKI内服を再開した.1例で術後5ヶ月無再発経過中,1例で術後5ヶ月に再発し術後7ヶ月で死亡,1例で術後11ヶ月に再発,術後21ヶ月担癌生存中である.【考察】自験例を含めた本邦で報告されたEGFR-TKI加療後に切除された進行肺癌症例15例について検討した.術後無病増悪期間は中央値6.0ヶ月,EGFR-TKI開始後全生存は29.5ヶ月であった.また,8例では術後にEGFR-TKI投与を再開され,再投与群では非投与群と比較し有意に術後無病増悪期間が延長した(11.0 ヶ月vs 4.5ヶ月, p=0.013)が,EGFR-TKI開始後全生存では有意差は認められなかった(35.5ヶ月 vs 30.0ヶ月, p=0.386).遠隔転移が制御され,EGFR-TKI加療後にダウンステージングが得られた症例では,手術療法も治療の選択の一つとなり得る可能性があるが,その至適時期や周術期のEGFR-TKI休薬,術後治療については更なる検討を要すると考える.

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:集学的治療

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