演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

肺移植における術前の悪性疾患の既往と術後の悪性疾患の発症についての検討

演題番号 : O29-1

[筆頭演者]
陳 豊史:1 
[共同演者]
山田 徹:1、佐藤 雅昭:1、青山 晃博:1、毛受 暁史:1、佐藤 寿彦:1、園部 誠:1、大政 貢:1、伊達 洋至:1

1:京都大学医学部附属病院呼吸器外科

 

背景と目的:臓器移植後の免疫抑制に伴う悪性疾患の発症は、臓器移植後の一つの克服すべき課題である。また、術前の悪性疾患の既往への対応についても、一定のガイドラインはあるが、個々の症例別に対応せざるを得ない。本邦でも、肺移植は慢性呼吸不全の一治療として確立したものとなり普及が進んでいるが、肺移植術前後の悪性疾患の頻度やその対応については、未だまとまった報告はほとんどない。そこで、今回、当院における肺移植施行患者について、術前後の悪性疾患の既往や発症について検討を行い、その実態について明らかにする。
方法:2014年3月までに、京都大学医学部附属病院にて施行された肺移植89例について、術前の悪性疾患の既往や術後発症の悪性疾患についてレトロスペクティブに多角的検討を行った。
結果:肺移植の種類別では、生体肺葉移植46例、脳死肺移植43例。年齢は、38.4±16.7歳(8-64歳)。性別は男性43名、女性46名。原疾患は、特発性間質性肺炎24例、造血幹細胞移植後の肺傷害20例、特発性肺高血圧症8例、LAM 8例、肺気腫7例、膠原病関連の間質性肺炎5例などであった。造血幹細胞移植後の肺傷害症例においては、原疾患が悪性腫瘍であったものが、17例であり、急性骨髄性白血病が10例と最多であった。術前に悪性腫瘍の既往があるものは、この17例(19%)のみであった。しかしながら、術後に術前の悪性疾患が再燃したものはなかった。一方、術後の悪性疾患については、5例(6%)に新規発症を認めた。その内訳は移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)4例、乳癌1例であった。PTLD 4例の内3例は、加療により寛解を維持できている(2例はRituximab投与、1例は免疫抑制剤の減量)が、1例は中枢神経病変も発症し死亡した。なお、術後悪性疾患発症5例の内3例が、造血幹細胞移植の既往を認めた。造血幹細胞移植後の肺傷害症例では、20例中3例に術後悪性疾患の発症を認め、それ以外の症例より有意に悪性疾患の発症が高率であった(p=0.029)。
結論:肺移植における術前後の悪性疾患について、術前の既往のみならず、術後の悪性疾患の発症においても、造血幹細胞移植後の肺傷害の患者群が有意に多く、十分な注意が必要であると考えられた。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:移植・細胞療法

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