演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

胃癌におけるANGPTL2の機能的、臨床病理学的意義の検証

演題番号 : O20-1

[筆頭演者]
問山 裕二:1 
[共同演者]
北嶋 貴仁:1、志村 匡信:1、今岡 裕基:1、近藤 哲:1、井出 正造:1、沖上 正人:1、安田 裕美:1、三枝 晋:1、大井 正貴:1、田中 光司:1、井上 靖浩:1、毛利 靖彦:1、楠 正人:1

1:三重大学大学院消化管小児外科

 

背景:胃癌の多くはHelicobactter pyloriの感染による慢性炎症を背景に発生すると考えられている。慢性炎症の原因となるAngiopoietin-like protein 2 (ANGPTL2)は肺癌、乳癌、皮膚癌の発症リスクを高め、癌転移を促進していることが報告されているが、胃癌におけるANGPTL2発現の機能的、臨床病理学的的意義に関する検討は現在のところなされていない。今回、胃癌細胞株を用いたANGPTL2の機能的解析および胃癌患者の癌組織ならびにその血清におけるANGPTL2発現を評価し、臨床病理学的意義を検討した。方法:ANGPTL2高発現胃癌細胞株(MKN1, KATOIII)にsi-ANGPTL2を遺伝子導入し、機能解析を行った。次に胃癌組織(n=192)ならびに健常胃粘膜におけるANGPTL2発現を免疫染色した後scoringし、臨床病理学的因子との関連を検討した。さらに胃癌患者(n=32)及び健常者(n=23)の血清ANGPTL2レベルをELISA法にてスクリーニング後(コホート1)、胃癌患者(n=194)及び健常者(n=48)の血清ANGPTL2レベルをELISA法にて再評価した(コホート2)。結果:ANGPTL2遺伝子を抑制することで、胃癌細胞株の増殖、浸潤、移動能の有意な抑制、Anoikisの有意な誘導を認めた。胃癌組織は正常粘膜に比べANGPTL2発現が有意に高く、ANGPTL2高発現群は有意にリンパ節転移、遠隔転移ならびにDFS、OS不良と相関していた。一方、胃癌患者の血清ANGPTL2レベルは健常者に比べ有意に高く、ROC解析ではAUC=0.814と胃癌診断能は極めて高かった(コホート1)。コホート2における再現性の確認においても、胃癌患者の血清ANGPTL2レベルは健常者に比べ有意に高く、胃癌患者の診断能は極めて高かった(AUC=0.831)。また血清ANGPTL2レベルは早期胃癌(stage 1)患者も極めて高い正診率で判別可能であった(AUC=0.80)。さらに胃癌患者血清ANGPTL2レベルはその癌組織中ANGPTL2発現より腫瘍悪性度ならびに予後と強い相関を示し、血清ANGPTL2レベル高値群は独立した再発規定因子(HR=5.05, p=0.0004)ならびに予後規定因子であった(HR=3.6, p=0.01)。興味深い結果として胃癌患者の血清ANGPTL2レベルは対応する胃癌組織のANGPTL2の染色スコアと有意に相関した。結語:胃癌の増殖、浸潤、移動、Anoikis制御に関与するANGPTL2発現は胃癌患者の悪性度ならびに予後に関わり、胃癌組織から分泌している可能性のある血清ANGPTL2は新規の胃癌診断、再発かつ予後を規定するマーカーであった。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:バイオマーカー

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