一般演題(口演)
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急性期病院におけるコンサルテーション型緩和ケアチームとリハビリテーションの関わり 演題番号 : O2-4
1:帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部、2:帝京大学医学部緩和医療学講座
【はじめに】
当院では2008年に多職種により成る専門病棟を持たないコンサルテーション型緩和ケアチーム(Palliative Care Team: PCT)が発足した.今回,PCTとリハビリテーション(リハビリ)が共に関わった症例を後方視的に調査し,PCTとリハビリの関わりを検討した. 【方法】 2013年1月~12月にPCTに依頼のあった212例のうち,従来のリハビリを実施した60例とPCTからのリハビリ依頼により新たに追加した22例をPCT依頼時の治療状況に応じて,放射線療法や化学療法などの治療群50例,中断群19例,積極的がん治療終了群(以下,終了群)13例の3群に分類した.今回は,各群のPCTからのリハビリ推奨率,リハビリ依頼内容,リハビリ実施項目を電子カルテから後方視的に調査した. 【倫理的配慮】 今回の調査は,ヘルシンキ宣言に沿って個人情報保護に配慮し実施した. 【結果】 各群において,従来のリハビリ処方は治療群33例(66.1%),中断群18例(94.7%),終了群9例(69.2%)であった.PCTからのリハビリ推奨率は治療群17例(34.0%),中断群1例(5.3%),終了群4例(30.8%)であった. PCTの介入で治療群と終了群でリハビリ推奨率の割合が多く,中断群は少なかった.従来の依頼目的は,各群共に廃用予防とADLの改善が多く,それに伴い実施内容は運動や基本動作・歩行に関するものが80%以上であった.PCTからの依頼目的は,治療群は運動機能改善,中断群・終了群では,心理的支援が多かった.また,各群の実施内容は依頼内容に即していた. 【考察】 がん治療の中断群でPCTからの推奨率が低い理由は,副作用の出現やPerformance Statusの低下などにより治療が中断されたため,治療継続に不可欠な身体機能改善を目的に主治医があらかじめ従来のリハビリ依頼をしていることが考えられた. 治療群・終了群で推奨率が高い理由として,治療群ではPCT介入時は疼痛や苦痛のため積極的な運動が困難であったが,介入により疼痛や苦痛が軽減され,身体機能の維持・改善を目標とした依頼が多くあったと考える.一方,終了群では身体機能の維持だけでなく,心理支援による苦痛の軽減,残された時間のQOLの向上を目標に患者に即した細かい提案が必要であったと推測された.コンサルテーション型PCTは、患者の隠れていたニーズを反映することができた。 【研究の意義】 PCTの介入により患者の隠れていたニーズを反映したリハビリを提案することが可能となった. |
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