演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

造血器悪性腫瘍患者における転倒リスク因子の検討

演題番号 : O2-3

[筆頭演者]
中山 紀子:1 
[共同演者]
青山 誠:3、泉田 悠子:3、堀内 絢子:3、山﨑 美希:3、木ノ下 哲嗣:3、山田 慎也:3、佐藤 義文:3、辻 哲也:2

1:慶應義塾大学大学院医学研究科リハビリテーション医学教室、2:慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室、3:医療法人渓仁会手稲渓仁会病院リハビリテーション部

 

目的
入院中の転倒予防対策は、医療安全管理の上で重要である。転倒のリスク因子に関してさまざまな報告があるが、がん患者を対象とした報告は少ない。造血器悪性腫瘍患者は骨髄抑制により出血リスクが上昇することから、転倒には十分な注意を要す。本研究の目的は、造血器悪性腫瘍患者の転倒リスク因子を明らかにすることである。
方法
2011年1月~2013年12月までに治療目的で血液内科病棟へ入院し、リハビリテーション(以下リハ)が処方された造血器悪性腫瘍患者103名のうち、リハ開始時の歩行に介助を要する者[Functional Independence Measure(FIM):移動4以下]、または死亡退院となった者を除いた47名(平均年齢75.3±7.5歳)を対象とした。診断名は悪性リンパ腫26名、白血病11名、骨髄異型性症候群5名、多発性骨髄腫5名であった。方法は転倒リスクと関係のある基礎・医学的情報(全40種)を診療記録から後方視的に収集し、入院中に1回以上の転倒した転倒群(17名)と転倒をしなかった非転倒群(30名)との間での有意差の有無をt-検定により分析した。また、転倒の有無を目的変数、基礎・医学的情報を説明変数として、二項性ロジスティック回帰分析を行った(有意水準はα=0.05)。本研究は手稲渓仁会病院の倫理委員会より承認を得て行った。
結果
二群間の有意差を認めた因子は入院中最低ヘモグロビン値(Hb値)、初期Functional Balance Scale (FBS)、薬剤服用数、入院日数、初期Palliative Performance Scale、初期FIM入浴(Bath)であった。ロジスティック回帰分析では説明変数としてHb値、 FBS、Bathが抽出され、回帰式[log(p/1-p)=19.01-1.026×Hb値-0.197×FBS-0.596×Bath]が得られた。AIC(赤池の情報量基準)は42.28、各因子のオッズ比はHb値:0.36、FBS:0.82、Bath:0.55であった。
考察
Hb低値によりめまいや立ちくらみの症状が出現し、FBS低下は立位バランスの低下をもたらす。Bathは浴槽のまたぎ動作を評価するものであり、バランス能力が低下するとBathが困難となることから、転倒リスク因子に抽出されたと考えられた。いずれの指標も簡便に評価可能であることから、転倒予測因子として有用であると考えられた。今後、前方視的研究により、その有用性を検証していきたい。

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:リハビリテーション

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