一般演題(口演)
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乳癌に対する術後上肢機能障害予防の取り組み 演題番号 : O2-2
1:独立行政法人国立病院機構四国がんセンターリハビリテーション科、2:独立行政法人国立病院機構四国がんセンター整形外科、3:独立行政法人国立病院機構四国がんセンター乳腺外科
【目的】
当院では、乳癌切除に腋窩リンパ節郭清例を伴う症例に対し体系的なリハビリを施行しており、今回その取り組みについて報告する。 【対象と方法】 H24年11月よりH25年10月までに、当院で乳癌切除に腋窩リンパ節郭清を伴う手術を施行され、リハビリを実施後、術後3ヶ月間の評価を終了した症例37例を対象とした。平均年齢は55歳(28歳~76歳)であった。全例術前よりリハビリを行い、退院後の自主的なリハビリを促進するため、訓練用のDVDとリハビリ実施回数、時間などを書き込める、記入式の月間カレンダーを配布し、希望者には外来リハビリを行う体制も整えた。術前、術後1週、1、2、3ヶ月の時点で、上肢機能評価:肩関節屈曲・外転、QOL評価:EORTC QLQ-C30のGlobal health status(0-100のスコア、高得点ほど良好 C30)およびDisablties of the Arm, Shoulder and Hand(100-0のスコア、低得点ほど良好 DASH)を行った。術後1ヶ月からは自主リハビリ実施状況の評価を行った。これらの症例について1ヵ月時における自主リハビリ実施率を検討した。また、上肢機能とQOLの悪化に関するリスクファクター (年齢、BMI、糖尿病の有無、高血圧の有無、配偶者の有無、子供の有無、喫煙の有無、アルコールの有無、術式、術側(利き腕、非利き腕)、リンパ節郭清レベル、大胸筋切除の有無、小胸筋切除の有無、術後合併症(疼痛、しびれ、Seromaの有無など)、化学療法の有無、放射線治療の有無、ホルモン療法の有無、自主リハビリの有無等)について単変量解析 (カイ二乗検定)を行った。 【結果】 1ヵ月時における自主リハビリ実施率は86%であった。術前、術後1週、1、2、3カ月の時点で肩関節屈曲外転の平均は術前 170°から、それぞれ135°、126°まで低下が認められたが、経時的に改善し、最終的にそれぞれ165°、162°であった。C30の平均スコアは術前69から、術直後54まで低下が認められたが、経時的に改善し、最終的に72であった。DASHの平均スコアは術前10から、術直後37まで低下が認められたが、次第に改善し、最終的に12であった。肩関節屈曲および外転のリスクファクターは、術後1ヶ月においてSeromaであった。C30のリスクファクターは、術後1ヶ月において痛みであった。 【考察】 当院の取り組みにより自主リハビリを促進することが出来た。また、疼痛により術後QOLが低下することが判明した。したがって、術後の疼痛コントロールが重要と考えられた。 |
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