演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

原発巣切除可能なStage Ⅳ 胃癌症例に対する術前化学療法は生命予後を改善させるか?

演題番号 : O19-7

[筆頭演者]
木南 伸一:1 
[共同演者]
藤田 純:1、甲斐田 大資:1、大西 敏雄:1、大野 由夏子:1、富田 泰斗:1、野口 美樹:1、舟木 洋:1、藤田 秀人:1、上田 順彦:1、中野 泰治:1、小坂 健夫:1

1:金沢医科大学一般・消化器外科

 

【背景】現在教室では、Stage IVと術前診断した胃癌に対し、まず化学療法(Induction chemotherapy)を適用し、奏効した場合には原発巣切除を行う(Conversion gastrectomy)治療方針を採っている。しかし実臨床では、開腹所見でStage IVと判明する症例や、Stage IVと診断しても出血や狭窄などの臨床症状から手術を先行させる症例、さらにPS不良や高齢などで化学療法が導入困難なため姑息切除に留める症例なども存在する。よってStage IVと最終診断された手術症例には、化学療法を導入した後に胃切除を行った症例と、胃切除を先行させた症例とがある。その生命予後を後ろ向きに調査し、原発巣切除が可能なStage IV胃癌症例に対する術前化学療法の有用性と限界に関し考察した。【対象】2009~2013年の5年間に教室で経験した最終診断Stage IV胃癌のうち胃切除を行い得た症例を抽出し、その生命予後を、化学療法後にconversion gastrectomyを適用した症例(CG群)と、化学療法先行なしに胃切除を行った例(IG群)とに分け比較した。【結果】CG群は16例、IG群は29例であった。CG群の術前化学療法の内訳は、TS-1+CDDPが14例、CPT-11+CDDPが1例、DOC+TS-1が1例であった。Induction chemotherapyの臨床所見での奏効率は43.8%であった。CG群の13例に術後化学療法を行い得たが、3例は術後の体力回復が不十分で化学療法を行えなかった。IG群のうち17例には術後化学療法を行ったが、5例は体力回復が不十分で化学療法を導入し得ず、残り7例は姑息切除で術後も化学療法を行わなかった。CG・IG各群の1年生存率・2年生存率・生存期間中央値・平均生存期間は、CG群 66.6%・13.3%・17.0カ月・18.8カ月、IG群で47.9%・20.9%・11.7カ月・15.8カ月で、CG群の予後はIG群より良好な傾向であった(p=0.09)。一方で、姑息切除を除いたIG群22例の成績は、58.8%・25.8%・14.6カ月・19.0カ月で、CG群と差がなかった。【結語】原発巣切除が可能なStage IV胃癌において、術前化学療法の導入は1年生存率を改善し生存期間中央値を延長する可能性が示唆されるも、長期生存の達成は困難と推測された。Stage IV胃癌に対する術前化学療法の有用性は前向き試験でないと判断できないが、それでも現行の化学療法では長期予後の改善は難しいと思われた。Stage IV胃癌全体の予後を改善するには、化学療法施行のタイミングのみならず、新規抗癌剤の登場や化学療法レジメンの改良が必須と考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:集学的治療

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