演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第52回・2014年・横浜
 

大腸癌患者に対する化学療法中の筋肉量変化は新しい予後予測因子である

演題番号 : O14-4

[筆頭演者]
吉川 祐輔:1 
[共同演者]
岡林 剛史:1、長谷川 博俊:1、石井 良幸:1、鶴田 雅士:1、清島 亮:1、高橋 秀奈:1、松井 信平:1、山田 暢:1、近藤 崇之:1、島田 岳洋:1、松田 睦史:1、矢作 雅史:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部外科(一般・消化器)

 

【背景】担癌患者では進行性の筋肉量低下を認めることがあり,全身状態の増悪を反映するとの報告がなされている.今回我々は,切除不能・再発大腸癌患者における化学療法導入前後の筋肉量の変化が予後と有害事象に与える影響を評価,検討した.
【方法】2007年11月から2011年10月までに当院にて切除不能・再発大腸癌に対する1次治療としてCPT-11を含む治療を導入された43例(男性27例,女性16例,年齢36-74歳・中央値64歳)を対象とした.主解析項目を全生存期間(OS)とし,副次解析項目を無増悪生存期間(PFS),有害事象発生率・グレードとした.筋肉量はCTにおけるlumber skeletal muscle index(第3腰椎レベルの筋肉面積(cm2)/身長(m)2) を用いて測定し,化学療法導入前と初回評価時の2点で計測を行った.Cox比例ハザードモデルにより化学療法導入前後の筋肉量とその変化が生存に与える影響について検討した.さらに,化学療法導入後に筋肉量が10%以上減少した症例をA群,減少しなかった症例をB群に分けて検討を行った.
【結果】OSに関する単変量解析では筋肉量変化率 (ハザード比(HR):1.10 [1.02-1.19],p = 0.01),2臓器以上への転移(HR: 3.31 [1.05 - 10.4] ,p = 0.04)で有意差を認めた.これらの因子を用いた多変量解析では筋肉量変化率(HR: 1.11 [1.03 - 1.20],p < 0.01)であり,筋肉量変化率は独立したOSの規定因子であった.PFSに関する単変量解析では筋肉量変化率(HR: 1.05 [1.00-1.09],p = 0.052)に有意差を認めなかったが,年齢(HR:1.04 [1.00 - 1.08],p = 0.03)において有意差を認めた.多変量解析では筋肉量変化率(HR: 1.04 [0.99 - 1.10],p = 0.058),年齢(HR: 1.04 [1.00 - 1.08],p = 0.03)ともに有意差を認めなかった.A群は9例,B群は34例であった.化学療法の平均サイクル数はA群で3.9 [1.7 - 6.1],B群で10.7 [8.4 - 13.0]であり,両群間で有意差を認めた.(P < 0.01)筋肉量の10%以上の減少はOS,PFSの両者に対する予後規定因子であった.(OS HR: 6.15 [1.84 - 20.50],p < 0.01,PFS HR: 6.14 [2.64 - 14.28],p < 0.01)有害事象発生率やグレードに両群間で有意差を認めなかった.
【結語】切除不能・再発大腸癌に対する化学療法導入前後の筋肉量変化と予後の間に有意な相関を認めた.CTによる筋肉量測定値の経時的変化は潜在的な全身状態を反映しており,大腸癌化学療法患者の新たな予後予測因子となる可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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